★9月5日はレイバーデーで米国市場は休場
★NY株式市場では、主要三指数の全てで下落する展開になった。8月雇用統計で労働市場の健全性が証明されたほか、賃金の伸びも安定する良好な結果となったため、ハードランティング回避を期待した買いに寄り付き後は上昇した。9月連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げ観測も後退し、長期金利の低下に伴いハイテク株も買われ、相場を一段と押し上げた。後場に入り、ロシアのガスプロムがノルドストリーム稼働停止を継続すると発表すると、欧州発の燃料危機を警戒した売りに下落に転じた。連休前のポジションを手仕舞う売りも目立ち、下げ幅を拡大して終了した。一方、長期金利は、8月米雇用統計発表直後は雇用者数が予想を上回ったことを理由に売り(利回りは上昇)が出たものの、すぐに買い戻し(利回りは低下)が優勢となった。失業率と平均時給が予想より弱い内容となったことから、市場では米連邦準備理事会(FRB)が利上げをさらに加速するほど強い内容ではないと受け止められた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が低下しうえ、主要三指数も下落したことで、イールドスプレッドは三指数全てで縮拡大する展開になった。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は25.56から25.47へわずかに低下した。VIX指数は20台で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.226%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.713%、22/6/6-▲2.009%
22/8/17-▲1.845%、22/8/24-▲1.809%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・9月1日:▲1.887%⇒9月2日:予想▲2.017%(前日比で拡大:割安)
9月2日のNYダウが反落した一うえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.226%から▲1.209%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.209%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.085%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.524%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.000%下回った。NYダウは、注目された米8月雇用統計で失業率が悪化したことや平均賃金の伸びが予想を下回ったことで9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げ見通しがやや後退し、主要3指数はそろって大幅に上昇してスタートした。しかし、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制のために長期にわたって利上げを継続するとの見方や、ロシア国営の天然ガス会社ガスプロムが欧州向けパイプラインの再開を延期すると発表し、欧州を中心に世界的景気悪化懸念が強まったことで投資家心理が悪化した。9月の株安アノマリーが意識されたことも相場の重しとなった。NYダウは朝方に370ドル高まで上昇したものの、終盤に474ドル安まで下落し、337.98ドル安(-1.07%)と反落して終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.770%
・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
22/6/6-▲2.329%、22/8/24-▲2.137%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・9月1日:▲2.199%⇒9月2日:予想▲2.328%(前日比で拡大:割安)
S&P500が反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高安)した。平均値の▲2.770%から▲0.442%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.541%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.674%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.851%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.171%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.894%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.728%
・直近イールドスプレッド縮小:22/4/19-▲0.513%、22/8/5-▲0.647%
22/8/24-▲0.404%、22/9/1-▲0.414%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・9月1日:▲0.414%⇒9月2日予想▲0.526%(前日比で拡大:割安)
NASDAQが続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.728%から▲1.202%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.653%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.857%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.972%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.277%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.568%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、指数も続落したことで前日比では拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.5%台前半と割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。