★NY株式市場では、米主要三指数の全てが続伸する展開になった。ジャクソンホール会議を控えた警戒感に伴う売りに寄り付き後は下落した。しかし、週次の失業保険申請件数が予想外に減少し労働市場の強さが証明されたほか、4-6月期国内総生産(GDP)改定値も予想外に上方修正される強い経済指標を受けて、景気減速懸念が緩和し上昇に転じた。長期金利の低下でハイテク株も強く、相場の上昇を後押しし引けにかけて一段高となり終了した。明日26日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を前にショートカバーが強まった面もあった。一方、長期金利は、利回りは一時3.1264%前後と約2カ月ぶりの高水準を付ける場面もあったが、そのあとは明日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を前に持ち高調整目的の買い戻し(利回りは低下)が優勢となった。7年債入札が好調だったことも買い戻しを誘った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅低下した一方で、主要三指数が続伸したものの、イールドスプレッドは三指数全てで拡大する展開になった。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は22.82から21.78へ低下した。VIX指数は20台で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.228%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.713%、22/6/6-▲2.009%
22/8/17-▲1.845%、22/8/24-▲1.809%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・8月24日:▲1.809%⇒8月25日:予想▲1.842%(前日比で拡大:割安)
8月25日のNYダウが続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.228%から▲1.386%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.384%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.260%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.699%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.175%下回った。NYダウは、翌26日のジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控え、持ち高調整による買い戻しが優勢となった。債券市場でも買い戻しが優勢で、米10年債利回りは前日の3.10%台から3.03%に低下した。NYダウは朝方に79ドル安まで下落後、長期金利の低下に連れ、336ドル高まで上昇し、322.55ドル高(+0.98%)で終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.771%
・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
22/6/6-▲2.329%、22/8/24-▲2.137%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・8月24日:▲2.137%⇒8月25日:予想▲2.144%(前日比で拡大:割安)
S&P500が続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.771%から▲0.627%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.725%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.858%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.035%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.355%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.078%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.730%
・直近イールドスプレッド縮小:22/4/19-▲0.513%、22/6/8-▲0.716%
22/8/5-▲0.647%、22/8/24-▲0.404%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・8月24日:▲0.404%⇒8月25日予想▲0.426%(前日比で拡大:割安)
NASDAQが続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.730%から▲1.304%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.753%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.957%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.078%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.377%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.668%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、指数は続伸したものの前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.4%前半と割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。