★NY株式市場では、米主要三指数の全てが反発する展開になった。金利高を警戒した売りが継続し、寄り付き後は下落した。ただ、足もとで相場下落が続いたあとだけに短期的な戻りを期待した買いが入ると、指数は上げに転じた。 その後発表された7月耐久財受注統計で、コア資本財の受注や出荷が予想を上回る伸びとなったため景気減速懸念が後退し買いが再燃、下値を支えた。さらに、7月中古住宅販売成約指数も予想を上回る良好な経済指標を好感したほか、バイデン大統領が学生ローン減免を発表、消費を助けるとの期待が広がり、主要株式指数は上昇に転じ終了した。一方、長期金利は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がジャクソンホール会議での講演で、タカ派的なスタンスが改めて示すとの見方から債券売りが優勢となった。米5年債入札が『やや低調』と受け止められたことも相場の重しになった。利回りは一時3.1244%前後と6月29日以来約2カ月ぶりの高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇したうえ、主要三指数が反発したものの、イールドスプレッドは三指数全てで縮小する展開になった。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は24.11から22.82へ低下した。VIX指数は20台で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.229%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.713%、22/6/6-▲2.009%
22/6/27-▲2.030%、22/8/17-▲1.845%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・8月23日:▲1.874%⇒8月24日:予想▲1.805%(前日比で縮小:割高)
8月24日のNYダウが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.229%から▲1.424%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.421%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.297%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.736%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.212%下回った。NYダウは、経済指標の悪化が続いたことで、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めへの警戒感がやや和らいだ。翌日からのジャクソンホール会議では、金曜日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が予定され、先行きの金融政策についての発言に注目が集まっている。ただし、朝方に発表された7月耐久財受注が予想を下回り、7月中古住宅販売仮契約指数も低下が続いたことで、大幅利上げへの警戒感を背景とした株売りが一服した。前日までの3日間で1000ドル以上下落したNYダウは59.64ドル高(+0.18%)と4日ぶりに小幅反発した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.771%
・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
22/6/6-▲2.329%、22/6/27-▲2.461%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・8月23日:▲2.211%⇒8月24日:予想▲2.134%(前日比で縮小:割高)
S&P500が反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比でわずかに縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.771%から▲0.637%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.735%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.868%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.045%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.365%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.088%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.731%
・直近イールドスプレッド縮小:22/4/19-▲0.513%、22/6/8-▲0.716%
22/6/27-▲0.738%、22/8/5-▲0.647%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・8月23日:▲0.478%⇒8月24日予想▲0.403%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.731%から▲1.328%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.776%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.980%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.095%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.400%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.691%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、指数は反発したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.4%前半と割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。