★NY株式市場では、米主要三指数の全てが大幅続落する展開になった。ジャクソンホール会合を控え連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢を警戒した売りが継続し、寄り付き後は下落した。長期金利が1カ月ぶり高水準で推移したため、ハイテク株も売られ、更なる売り圧力となった。引けにかけ主要株式指数は下げ幅を拡大した。株式の相対的な割高感が意識されて売りが広がった。一方、長期金利は、26日のジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演に注目が集まる中、市場では『タカ派的なスタンスが改めて示される』との見方が広がっており、債券売り(利回りは上昇)を誘った。利回りは一時3.0386%前後と7月21日以来約1カ月ぶりの高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利は大幅上昇した一方で、主要三指数が大幅続落したことで、イールドスプレッドは三指数ともに拡大した。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は20.60から23.80へ上昇した。VIX指数は再び23台へ上昇したことで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.230%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.713%、22/6/6-▲2.009%
22/6/27-▲2.030%、22/8/17-▲1.845%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・8月19日:▲1.825%⇒8月22日:予想▲1.865%(前日比で拡大:割安)
8月22日のNYダウが大幅続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.230%から▲1.365%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.361%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.237%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.676%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.152%下回った。NYダウは、長期金利の上昇が続いたことでハイテク・グロース株を中心に幅広い銘柄が下落した。26日のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を控え、積極的な利上げ継続への警戒感が高まる中、米10年債利回りは先週末の2.98%台から3.02%台に上昇した。1週間前からでは0.23%の大幅上昇となった。6月安値から15%以上上昇したNYダウは643.13ドル安(-1.91%)の33063.61ドルで終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.772%
・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
22/6/6-▲2.329%、22/6/27-▲2.461%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・8月19日:▲2.160%⇒8月22日:予想▲2.219%(前日比で拡大:割安)
S&P500が大幅続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.772%から▲0.553%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.650%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.783%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.960%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.280%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.003%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.731%
・直近イールドスプレッド縮小:22/4/19-▲0.513%、22/6/8-▲0.716%
22/6/27-▲0.738%、22/8/5-▲0.647%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・8月19日:▲0.463%⇒8月22日予想▲0.499%(前日比で拡大:割安)
NASDAQが大幅続落一方で、米長期金利が大幅上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.732%から▲1.233%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.680%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.884%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.999%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.304%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.595%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は大幅上昇した一方で、指数は大幅続落反落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.4%後半と割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。