★NY株式市場では、主要3指数とも全てで続伸する展開になった。4-6月期国内総生産(GDP)が1-3月期に続き2四半期連続マイナス成長となったため景気後退を警戒した売りに寄り付き後は下落した。同時に、景気減速により、急速で大幅な利上げが回避できるとの期待に金利低下に伴い買戻しも目立ち、上昇に転じた。下院が半導体業界支援法案を可決したほか、政府の環境問題支援策を巡る進展などが好感され、引けにかけて上げ幅を拡大した。一方、長期金利は、4-6月米国内総生産(GDP)速報値がマイナス成長だったことが分かると、米利上げ期待が後退し債券は急伸した。利回りは一時2.6471%まで低下した。その後は引けにかけても底堅さを維持した。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利は大幅低下した一方で、主要三指数は続伸する展開になったものの、イールドスプレッドは主要三指数は全てで拡大した。そのため、割高感が弱まる展開になった。しかし、割高感が強いことから上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は23.24から22.33へ低下した。VIX指数は20台で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.236%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.713%、22/6/6-▲2.009%
22/6/27-▲2.030%、22/7/20-▲2.073%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・7月27日:▲2.277%⇒7月28日:予想▲2.341%(前日比で拡大:割安)
7月28日のNYダウが続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.236%から▲0.895%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.885%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.761%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.200%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.676%下回った。NYダウは、4-6月期GDPが予想に反して2四半期連続でマイナスとなり、テクニカル・リセッションとなったものの、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な利上げが終了することへの期待が株価の支援となった。CMEグループのフェド・ウォッチが示す9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%以上の利上げ確率は前日の40%から26%に低下した。0.50%の利上げ確率は74%に上昇した。NYダウは朝方に214ドル安まで下落する場面もあったが、終盤に411ドル高まで上昇し、332.04ドル高(+1.03%)で終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%
・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
22/6/6-▲2.329%、22/6/27-▲2.461%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・7月27日:▲2.678%⇒7月27日:予想▲2.728%(前日比で拡大:割安)
S&P500が続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.774%から▲0.046%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.141%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.274%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.451%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.771%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.494%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.738%
・直近イールドスプレッド縮小:22/4/19-▲0.513%、22/6/8-▲0.716%
22/6/27-▲0.738%、22/7/20-▲0.769%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・7月27日:▲0.956%⇒7月28日予想▲1.031%(前日比で拡大:割安)
NASDAQは続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.738%から▲0.707%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.148%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.352%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.467%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.772%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.063%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、続伸したものの前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.0%台前半で推移していることで、割高感が継続している。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。