★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は反発したも一方で、ナスダック総合指数は反落する展開になった。6月シカゴ連銀全米活動指数や7月ダラス連銀製造業活動指数が予想を下回り、2カ月連続のマイナスに落ち込んだため景気後退懸念に寄り付き後は下落した。連邦準備制度理事会(FRB)が今週開催を予定している連邦公開市場委員会(FOMC)を警戒し、終日調整が続き売り買いが交錯した。NYダウはプラス圏を維持したものの、ハイテクは金利の上昇や主要ハイテク企業決算の発表を控えた警戒感に売られ、ナスダック総合指数は下落で終了した。一方、長期金利は、先週後半にかけた債券高に対する反動から時間外で債券売りが強まった。通常取引に入ると、利回りは一時2.84%台まで上昇した。もっとも、一巡後は引けにかけて買い戻しが入るなど下げ渋った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇した一方で、主要三指数はまちまちの展開になったものの、イールドスプレッドは主要三指数は全てで縮小した。全般割高感が強まった。そのため、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は23.03から23.36へ低下した。VIX指数は20台前半で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.237%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.713%、22/6/6-▲2.009%
22/6/27-▲2.030%、22/7/20-▲2.073%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・7月22日:▲2.342%⇒7月25日:予想▲2.282%(前日比で縮小:割高)
7月25日のNYダウが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.237%から▲0.955%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.944%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.820%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.259%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.735%下回った。NYダウは、翌日以降のアップルなどのハイテク・ジャイアントの決算や、0.75%の利上げが予想される米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表、4-6月期GDP速報値などの経済指標の発表を控え神経質な展開となった。NYダウは129ドル高まで上昇後、77ドル安まで反落したが、90.75ドル高(+0.28%)と反発して終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%
・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
22/6/6-▲2.329%、22/6/27-▲2.461%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・7月22日:▲2.823%⇒7月25日:予想▲2.772%(前日比で縮小:割高)
S&P500が反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.002%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.097%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.230%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.407%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.727%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.450%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.738%
・直近イールドスプレッド縮小:22/4/19-▲0.513%、22/6/8-▲0.716%
22/6/27-▲0.738%、22/7/20-▲0.769%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・7月22日:▲1.073%⇒7月25日予想▲1.044%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは続落し一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.738%から▲0.694%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.135%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.339%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.454%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.759%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.050%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、反落したものの前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.0%台半ばで推移していることで、割高感が継続している。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。