★NY株式市場では、米主要三指数は全て大幅に反発する展開になった。予想を上回った企業決算を好感した買いに、寄り付き後は上昇した。疾病管理予防センター(CDC)がクルーズ船での新型コロナ感染件数を監視するプロブラムを終了したため旅行関連株中心に買いが広がり、一段の上げに繋がった。ロシアの国営ガス会社がパイプライン、ノルドストリーム1を通じた欧州への天然ガスの輸出を再開するとの報道で、世界経済への悲観的見方も後退し相場の上昇をさらに支援し、引けにかけて主要株式指数は一段高となった。前日に予想を上回る決算を発表したゴールドマン・サックスへの買いが続いたことも相場の支援材料。1銘柄でダウ平均を116ドルほど押し上げた。一方、長期金利は、独国債など欧州債相場が下落したことを受けて米国債にも売り(利回りは上昇)が波及した。米国株相場の上昇も相場の重しとなった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利上昇したうえ、主要三指数も大幅反発する展開になったことで、イールドスプレッドは主要三指数は全てで大幅に縮小した。全般割高感はやや強まった。そのため、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は25.30から24.50へ低下した。VIX指数は20台半ばで推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.239%
・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.611%、22/4/19-▲1.713%
22/6/6-▲2.009%、22/6/27-▲2.030%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・7月18日:▲2.256%⇒7月19日:予想▲2.094%(前日比で縮小:割高)
7月19日のNYダウは大幅反発したうえ、米長期金利がも上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.239%から▲1.145%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.132%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.008%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.447%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.923%下回った。NYダウは、総じて良好な第2四半期決算やドル高進行が一服したことでセンチメントが改善した。NYダウは上昇してスタートすると、終盤に上昇幅を拡大し、754.44ドル高(+2.43%)とほぼ一日の高値で終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%
・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
22/6/6-▲2.329%、22/6/27-▲2.461%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・7月18日:▲2.779%⇒7月19日:予想▲2.585%(前日比で縮小:割高)
S&P500は大幅反発したうえ、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.189%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.284%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.417%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.594%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.914%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.637%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.740%
・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-▲1.066%、22/4/19-▲0.513%
22/6/8-▲0.716%、22/6/27-▲0.738%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・7月18日:▲1.001%⇒7月19日予想▲0.841%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは大幅反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.742%から▲0.901%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.338%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.542%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.657%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.962%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.253%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も大幅反発したことで前日比で大幅縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.8%台半ばで推移していることで、割高感が継続している。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。