★NY株式市場では、米主要三指数は全て反落する展開になった。金融のゴールドマンサックス(GS)や銀行のバンク・オブ・アメリカ(BAC)の予想を上回った四半期決算を好感した買いに、寄り付き後は大きく上昇した。その後、7月NAHB住宅市場指数の予想以上の悪化で、景気減速への懸念が再燃し、上げ幅を縮小した。さらに、携帯端末のアップル(AAPL)が一部部門で23年度の新規採用や支出減速報道で売られ、警戒感がさらに強まり、主要株式指数は下落に転じた。引けにかけ下げ幅を拡大し終了した。一方、長期金利は、アジアや欧州の株高を受けて安全資産とされる米国債には売り(利回りは上昇)が先行したものの、米国株が失速すると買い戻し(利回りは上昇)が入り下げ幅を縮めた。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利大幅上昇した一方で、主要三指数は反落する展開になったものの、イールドスプレッドは主要三指数は全てで縮小した。全般割高感はやや強まった。そのため、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は24.23から25.30へ上昇した。VIX指数は20台半ばで推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.239%
・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.611%、22/4/19-▲1.713%
22/6/6-▲2.009%、22/6/27-▲2.030%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・7月15日:▲2.264%⇒7月18日:予想▲2.231%(前日比で縮小:割高)
7月18日のNYダウは反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.239%から▲1.008%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.995%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.871%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.310%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.786%下回った。NYダウは、ゴールドマン・サックスなどの好決算を受けて上昇してスタートしたものの、アップルが来年の採用や投資の縮小を予定しているとブルムバーグが報じたことで売りが優勢となった。先週末に658ドル上昇したNYダウは、朝方に356ドル高まで上昇後、取引終盤に305ドル安まで下落し、215.65ドル安(-0.69%)と反落して終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%
・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
22/6/6-▲2.329%、22/6/27-▲2.461%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・7月15日:▲2.794%⇒7月18日:予想▲2.775%(前日比で縮小:割高)
S&P500は反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.774%から+0.001%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.094%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.227%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.404%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.724%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.447%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.740%
・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-▲1.066%、22/4/19-▲0.513%
22/6/8-▲0.716%、22/6/27-▲0.738%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・7月15日:▲1.042%⇒7月18日予想▲1.005%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは反落し一方で、、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.742%から▲0.737%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.174%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.378%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.493%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.798%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.089%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇した一方で、株価は反落したもののの前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.0%台前半で推移していることで、割高感が継続している。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。