★NY株式市場では、主要三指数は全て上昇する展開になった。ISM非製造業指数やJOLT求人件数が予想を上回ったため景気後退懸念が緩和し、寄り付き後は上昇した。しかし、金利上昇や連邦準備制度理事会(FRB)による6月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨公表を控えた警戒感に売りが強まり、下落に転じた。公表された内容でFRBが労働市場や消費に楽観的な見解を示し、利上げを計画通り継続していく想定内の方針が示されると、買いが再開した。引けにかけて上昇幅を拡大した。一方、原油先物価格の下落でシェブロンなどエネルギー株が売られた。一方、長期金利は、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月14-15日分)は新たな材料に乏しかったが、足もとで相場上昇が続いたあとだけにポジション調整目的の売り(利回りは上昇)が優勢となった。米国株相場の上昇も相場の重しとなった。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利大幅上昇したうえ、主要三指数も上昇する展開になったことで、イールドスプレッドは主要三指数は全てで縮小した。全般割高感強まったことで、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は27.54から26.73へ低下した。ただ、VIX指数は20台半ばで推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.242%
・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.611%、22/4/19-▲1.713%
22/6/6-▲2.009%、22/6/27-▲2.030%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・7月5日:▲2.468%⇒7月6日:予想▲2.335%(前日比で縮小:割高)
7月6日のNYダウは反発したうえ、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.242%から▲0.907%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.891%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.767%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.206%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.682%下回った。NYダウは、前日終値を挟んでもみ合ったが、午後に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が一部で警戒されたほどタカ派的でなかったことで、買いが優勢となった。NYダウは69.86ドル高(+0.23%)と小幅に反発した。朝方に172ドル安まで下落後、終盤に256ドル高まで上昇したが、上昇幅を縮小して終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%
・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
22/6/6-▲2.329%、22/6/27-▲2.461%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・7月5日:▲2.955%⇒7月6日:予想▲2.813%(前日比で縮小:割高)
S&P500は小幅続伸したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.774%から+0.039%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.056%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.189%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.366%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.686%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.409%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.742%
・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-▲1.066%、22/4/19-▲0.513%
22/6/8-▲0.716%、22/6/27-▲0.738%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・7月5日:▲1.196%⇒7月6日予想▲1.060%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは小幅続伸したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.742%から▲0.682%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.119%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.323%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.438%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.743%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.034%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇したうえ、株価も小幅続伸したことで前日比で大幅縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.0%台半ばで推移していることで、割高感が継続している。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。