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イールドスプレッドで6月30日の米国株市場を先取り!

2022.06.30

 

★NY株式市場では、NYダウは小幅反発した一方で、S&P500とナスダック総合指数は小幅続落する展開になった。1-3月期国内総生産(GDP)や個人消費確定値が予想外に下方修正されたため、景気減速を警戒した売りに寄り付き後は下落した。その後、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が参加した欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムで経済の強さを強調したため警戒感が後退し、上昇に転じた。さらに、ドイツのインフレがピークに達した可能性が示唆されたため国内の金利も低下し投資家心理も改善し、NYダウはプラス圏を維持した。FRBが重要視しているPCEコアデフレーターの発表を明日に控えた警戒感にナスダック総合指数は小幅下落で終了した。期末を控えて金融機関のリバランスに伴う株買いへの思惑が相場を下支えした。一方、長期金利は、独インフレ率の伸びが鈍化したことで、欧州債相場が上昇すると米国債にも買い(利回りは低下)が波及した。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め加速が景気悪化を招くとの懸念から、相対的に安全資産とされる米国債の買いを誘った面もあった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が低下した一方で、主要三指数はまちまちなったものの、イールドスプレッドは主要三指数は全てで拡大した。全般割高感はやや後退したものの、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は28.36から28.16へわずかに低下した。ただ、VIX指数は20台後半で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.243%

・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.611%、22/4/19-▲1.713%

                22/6/6-▲2.009%、22/6/27-▲2.030%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・6月28日:▲2.172%⇒6月29日:予想▲2.242%(前日比で拡大:割安)

 

6月29日のNYダウは小幅反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.243%から▲1.001%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.984%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.860%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.299%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.775%下回った。NYダウは前日の大幅安からの反発が期待されたものの、先行きの景気後退懸念や金融引き締めへの警戒感が上値圧迫要因となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はECBフォーラムで、利上げにより景気後退の可能性があるもののインフレ抑制に注力するとし、これまで通りの積極的な金融引き締め姿勢を維持した。これに先立ってメスター米クリーブランド連銀総裁は7月米連邦公開市場委員会(FOMC)でも0.75%の大幅利上げを支持するとした。前日に491ドル下落したNYダウは、ほぼ終日プラス圏で推移し、82.32ドル高(+0.27%)と小幅ながら3日ぶりに反発した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%

・直近イールドスプレッド縮小: 21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%

               22/6/6-▲2.329%、22/6/27-▲2.461%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・6月28日:▲2.609%⇒6月29日:予想▲2.696%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が小幅続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.774%から▲0.078%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.173%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.306%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.483%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.803%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.526%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.743%

・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-▲1.066%、22/4/19-▲0.513%

              22/6/8-▲0.716%、22/6/27-▲0.738%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・6月28日:▲0.885%⇒6月29日予想▲0.971%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは小幅続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.743%から▲0.772%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.208%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.412%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.527%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.832%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.123%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価も小幅続落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.9%台後半で推移していることで、割高感が高まている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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