★NY株式市場では、主要3株価指数は全て反落する展開になった。5月耐久財受注速報値や5月中古住宅販売成約指数の良好な結果を好感した買いに、寄り付き後は上昇した。2年債、5年債入札の低調な結果を受けて、金利が上昇するとハイテク中心に売られ、主要株式指数は下落に転じた。四半期末を控えた調整色も強い中、引けにかけて下げ幅を拡大した。先週は主要3指数が4週ぶりの大幅反発となっただけに、短期的に利益を確定する売りも出た。一方、長期金利は、米国株相場が失速したことで買い(利回りは低下)が入る場面もあったが、2・5年債入札が低調な結果に終わると売り(利回りは上昇)が強まった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇した一方で、主要三指数ともに反落したもののイールドスプレッドは主要三指数は全てで縮小した。全般割高感が強まったことから、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は27.23から26.95へ低下した。VIX指数は20台後半で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.244%
・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%
21/10/21-▲2.758%、22/4/19-▲1.713%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・6月24日:▲2.080%⇒6月27日:予想▲2.017%(前日比で縮小:割高)
6月27日のNYダウは反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.244%から▲1.227%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.209%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.085%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.524%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.000%下回った。先週はNYダウ、S&P500、ナスダック総合の主要3指数がそろって4週ぶりに大幅反発し、この日もプラス圏で推移したが、今週発表される経済指標や引け後のナイキの決算発表を控え、終盤は売りが優勢となった。米10年債利回りが再び3.20%台に上昇したこともハイテク・グロース株の重しとなった。NYダウは97ドル高まで上昇後、149ドル安まで反落し、62.42ドル安(-0.20%)で終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%
21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・6月24日:▲2.516%⇒6月27日:予想▲2.458%(前日比で縮小:割高)
S&P500が反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.316%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.411%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.544%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.721%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.041%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.764%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.743%
・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
21/11/23-1.299%、22/4/19-0.513%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・6月24日:▲0.784%⇒6月27日予想▲0.738%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.743%から▲1.005%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.441%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.645%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.760%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.065%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.356%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価は反落したものの前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.7%台前半まで縮小したことで、割高感が高まている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。