★NY株式市場では、主要3株価指数は全て大幅続伸する展開になった。セントルイス連銀のブラード総裁が成長拡大が始まったばかりとし、景気後退の可能性を否定したため、寄り付き後は上昇した。また、連邦準備制度理事会(FRB)のストレステストの結果を受けて金融セクターに買戻しが広がり、さらなる相場の上昇をけん引した。6月ミシガン大消費者信頼感指数確定値の長期期待インフレ率が14年ぶり高水準から下方修正され、インフレがピークに達した兆候が示されたため投資家心理が一段と改善した。大幅な利上げが回避されるとの期待も買い材料となり、引けにかけて上げ幅を拡大した。一方、長期金利は、米ミシガン大学が発表した6月消費者態度指数(確報値)や期待インフレ率が予想を下回ったことで買い(利回りは低下)が先行したものの、米国株の大幅高を受けて次第に売り(利回りは上昇)が強まった。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇したうえ、主要三指数ともに大幅続伸したことでイールドスプレッドは主要三指数は全てで大幅縮小した。全般割高感が強まったことから、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は29.05から27.23へ低下した。VIX指数は20台後半で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.244%
・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%
21/10/21-▲2.758%、22/4/19-▲1.713%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・6月23日:▲2.257%⇒6月24日:予想▲2.072%(前日比で大幅に縮小:割高)
6月24日のNYダウは大幅続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.244%から▲1.172%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.154%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.030%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.469%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.945%下回った。NYダウは、先週までの大幅安で、売られ過ぎからの反発の流れが続いたほか、6月ミシガン大消費者信頼感指数確報値で1年先期待インフレ率が速報値の5.4%から5.3%に低下したことも追い風となった。同期待インフレ率は、米連邦準備制度理事会(FRB)が6月米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の大幅利上げを決めた一因とされ、確報値が低下したことで、金融引き締め加速への過度な警戒感の緩和につながった。NYダウは上昇してスタートすると、消費者信頼感指数発表後に一段高となり、終盤にかけてさらに上げ幅を拡大した。823.32ドル高(+2.68%)の31500.68ドルと大幅に2日続伸して終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%
21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・6月23日:▲2.740%⇒6月24日:予想▲2.522%(前日比で大幅縮小:割高)
S&P500が大幅続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.252%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.347%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.480%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.657%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.977%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.700%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.744%
・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
21/11/23-1.299%、22/4/19-0.513%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・6月23日:▲0.970%⇒6月24日予想▲0.794%(前日比で大幅縮小:割高)
NASDAQは大幅続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.744%から▲0.950%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.385%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.589%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.704%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.009%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.300%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も大幅続伸したことで前日比で大幅縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.7%台後半まで縮小したことで、割高感が高まている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。