★NY株式市場では、主要3株価指数は全て上昇する展開になった。値ごろ感からの買いや海外市場の流れを受けて、寄り付き後は上昇した。前週末に約1年半ぶりの安値を付けたあとだけに短期的な戻りを期待した買いが入った。市場では『このところ下げのきつかったハイテクや消費関連株を中心に買いが入った』との声が聞かれた。 バイデン大統領が『景気後退は避けられる』との考えを示したため、景気後退への脅威も緩和し、終日堅調に推移した。一方、長期金利は、高インフレ抑制のため米連邦準備理事会(FRB)が積極的な金融引き締めを続けるとの見方から債券売り(利回りは上昇)が出た。米国株相場の上昇も相場の重しとなった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇したうえ、主要三指数ともに上昇したことでイールドスプレッドは主要三指数は全てで縮小した。全般割高感が強まっていることから、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は31.03から30.19へ低下した。VIX指数は30台で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.245%
・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%
21/10/21-▲2.758%、22/4/19-▲1.713%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・6月17日:▲2.325%⇒6月21日:予想▲2.160%(前日比で縮小:割高)
6月21日のNYダウは大幅反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.245%から▲1.085%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.066%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.942%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.381%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.857%下回った。NYダウは、特段の材料がなかったものの、先週まで大幅に3週続落したことで押し目買いが強まった。NYダウは765ドル高まで上昇し、641.47ドル高(+2.15%)で終了した。ユナイテッドヘルスが6.25%高となったほか、シェブロン、メルクが4%超上昇し、ベライゾン、ウォルマート、アップルなども3%超上昇した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%
21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・6月17日:▲2.794%⇒6月21日:予想▲2.601%(前日比で縮小:割高)
S&P500が続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.173%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.268%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.401%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.578%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.898%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.621%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.744%
・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
21/11/23-1.299%、22/4/19-0.513%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・6月17日:▲0.987%⇒6月21日予想▲0.838%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.744%から▲0.906%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.341%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.545%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.660%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.965%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.256%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.8%台前半まで縮小したことで、割高感は継続している。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。