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イールドスプレッドで6月16日の米国株市場を先取り!

2022.06.16

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て上昇する展開になった。6月小売売上高やニューヨーク連銀製造業景気指数が予想外のマイナスに落ち込み金利が低下したため、ハイテク中心に買われ寄り付き後は上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)が市場の思惑通り連邦公開市場委員会(FOMC)で1994年以降最大となる0.75%の追加利上げを決定し、インフレ抑制に努める強い姿勢を見せると一段と買いが広がった。FRBの金利見通しも市場予想との大きな乖離を縮小し、投資家はインフレ対応でFRBへの信頼を取り戻し終日堅調推移を維持した。パウエル議長が0.75%の利上げが異例であることを強調し、金利がさらに低下するとハイテクの買いも強まった。一方、長期金利は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の3倍にあたる0.75%の利上げが決まると売り(利回りは上昇)が強まる場面もあったが、パウエルFRB議長が会見で『0.75%の利上げが一般的になるとは予想しない』と発言すると一転買い戻し(利回りは低下)が優勢となった。市場では『警戒していたほどFRBが急激な金融引き締めを続けることに前向きではない』と受け止められた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅低下した一方で、三指数は上昇したもののイールドスプレッドは主要三指数は全て拡大した。全般割高感が強まっていることから、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は32.69から29.62へ低下した。VIX指数は20台後半で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.246%

・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%

                21/10/21-▲2.758%、22/4/19-▲1.713%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・6月14日:▲2.029%⇒6月15日:予想▲2.166%(前日比で拡大:割安)

 

6月15日のNYダウは反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことからイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.246%から▲1.080%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.060%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.936%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.375%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.851%下回った。NYダウは、注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利が通常の3倍の幅の0.75%引き上げられたものの、大幅利上げがすでに株価に織り込まれていたことや、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見後に金利上昇やドル高が一服したことが株価の支援となった。NYダウはFOMC結果公表後に179ドル安まで下落したものの、取引で終盤に647ドル高まで上昇し、303.70ドル高(+1.00%)で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

               21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・6月14日:▲2.460%⇒6月15日:予想▲2.564%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が反発した一方で、米長期金利は大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.774%から▲0.210%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.305%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.438%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.615%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.935%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.658%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.745%

・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

              21/11/23-1.299%、22/4/19-0.513%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・6月14日:▲0.740%⇒6月15日予想▲0.828%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことからイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.746%から▲0.918%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.351%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.555%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.670%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.975%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.266%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、株価は続伸したものの前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.8%台前半まで縮小していることで、割高感が継続している。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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