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イールドスプレッドで6月15日の米国株市場を先取り!

2022.06.15

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は続落した一方で、ナスダック総合は小反発する展開になった。ソフトウエアメーカー、オラクル(ORCL)や運送会社フェデックス(FDX)の株価上昇を受け投資家心理が改善し、寄り付き後は上昇した。しかし、5月生産者物価指数(PPI)が消費者物価指数(CPI)に続き大幅な伸びに留まったため、連邦準備制度理事会(FRB)の6月連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%の利上げが市場にほぼ織り込まれると金利の上昇に伴い売りが加速し、主要株式指数は下落に転じた。NYダウは終日軟調に推移した。引けにかけては、足もとで相場下落が続いたあとだけに短期的な戻りを期待した買いが入り、ハイテクが持ち直しナスダック総合指数は小幅高で終了した。一方、長期金利は、『明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では通常の3倍となる0.75%の利上げが実施される』との観測が広がる中、債券への売り(利回りは上昇)が続いた。利回りは一時3.4965%前後と2011年4月以来の高水準を付けた。米紙WSJの『FRBは0.75%の利上げを検討する可能性』との記事は『FRBが同紙を通じて市場とコミュニケーションをとった』と解釈されている。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅上昇した一方で、三指数はまちまちになったもののイールドスプレッドは主要三指数は全て縮小した。全般割高感が強まっていることから、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は34.02から32.69へ低下した。VIX指数は30台へ上昇していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.247%

・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%

                21/10/21-▲2.758%、22/4/19-▲1.713%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・6月13日:▲2.131%⇒6月14日:予想▲2.047%(前日比で縮小:割高)

 

6月14日のNYダウは続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことからイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.247%から▲1.200%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.179%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.055%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.494%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.970%下回った。NYダウは、前日まで4日続落した反動で上昇してスタートしたものの、15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を控え、様子見姿勢が強まった。米10年債利回りが前日の3.36%台から3.48%台に上昇し、11年ぶりの高水準になったことも米国株の重しとなった。NYダウは朝方に174ドル高まで上昇後、取引終盤に372ドル安まで下落し、151.91ドル安(-0.50%)で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

               21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・6月13日:▲2.554%⇒6月14日:予想▲2.464%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が続落した一方で、米長期金利は大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.310%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.405%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.538%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.715%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.035%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.758%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.746%

・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

              21/11/23-1.299%、22/4/19-0.513%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・6月13日:▲0.860%⇒6月14日予想▲0.741%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは小反発したうえ、米長期金利が大幅上昇したことからイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.746%から▲1.005%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.438%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.642%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.757%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.062%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.353%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇したうえ、株価も反発したものの前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.7%台半ばまで縮小していることで、割高感が継続している。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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