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イールドスプレッドで5月23日の米国株市場を先取り!

2022.05.21

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数はわずかに反発した一方で、ナスダック総合指数は小幅続落する展開になった。中国人民銀行の都市封鎖で傷んだ経済支援を目指した予想外の利下げを受け、世界経済の鈍化懸念が緩和し、寄り付き後は上昇した。しかし、国内経済が来年にも景気後退入りするとの懸念を受けた売り圧力が強まり、大きく下落に転じた。ただ、本日は大規模なオプションが満期を迎えテクニカルな取引も見られ、荒い展開の中、前日まで連日で年初来安値を更新していただけに、引けにかけては短期的な戻りを期待した買いが入り上げに転じた。 ナスダック総合指数は小幅下落となった。一方、長期金利は、インフレが世界経済や企業業績に及ぼす悪影響が懸念される中、相対的に安全資産とされる米国債に買い(利回りは低下)が入った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅低下したことで、三指数はまちまちの展開になったものの、イールドスプレッドは拡大した。そのため、イールドスプレッドの割高感はやや後退した。全般割高感が強まっていることから、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は29.35から29.43へ上昇した。VIX指数は低下したものの20台後半で推移していることから、米国株は不安定な動きは継続しやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.252%

・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%

                21/10/21-▲2.758%、22/4/19-▲1.713%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・5月19日:▲2.484%⇒5月20日:予想▲2.542%(前日比で拡大:割安)

 

5月20日のNYダウはわずかに反発した一方で、米長期金利は大幅に低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.252%から▲0.710%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.684%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.560%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.999%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.475%下回った。NYダウは、景気後退懸念が強まり大きく下落したが、終盤に反発した。NYダウは朝方に262ドルまで上昇後、617ドル安まで大きく下落したが、8.77ドル高(+0.03%)の31261.90ドルとほぼ横ばいで終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.776%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

               21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・5月19日:▲2.825%⇒5月20日:予想▲2.886%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500がわずかに反発した一方で、米長期金利は大幅に低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.776%から+0.110%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.983%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.116%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.293%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.613%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.336%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.750%

・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

              21/11/23-1.299%、22/4/19-0.513%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・5月19日:▲1.200%⇒5月20日予想▲1.272%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは小幅に続落したうえ、米長期金利も大幅に低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.750%から▲0.478%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.907%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.111%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.226%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.531%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.822%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下したうえ、株価も小幅続落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.2%台後半まで拡大したことで、若干割高感が後退した。ただ、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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