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イールドスプレッドで5月11日の米国株市場を先取り!

2022.05.11

 

★NY株式市場では、NYダウは続落した一方で、S&P500とナスダック総合指数は反転する展開になった。金利の上昇が一段落し、投資家心理が改善し寄り付き後は上昇し一時500ドル超上げた。しかし、世界経済が景気後退入りするとの懸念が根強く、売りが再開し、下落に転じ一時350ドル超下げる場面もあった。インフレの重要指標となる消費者物価指数(CPI)の発表を控えて警戒感も強く、終日神経質な展開が続いた。金利の低下で、高PER(株価収益率)のハイテクは買戻しが優勢となり、ナスダック総合指数は上昇した。一方、長期金利は、明日の4月米消費者物価指数(CPI)を前にポジション調整目的の買い(利回りは低下)が優勢となった。市場では『3月米CPIに続きインフレのピークアウト感が確認できるとの期待から、先回りして債券を買う動きが見られた』との声が聞かれた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が低下した一方で、三指数はまちまちになったものの拡大した。ただ、イールドスプレッドの観点からは割高感が残っている。そのため、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は34.75から32.99へ低下した。VIX指数が30台半ば乗せとなっていることで、米国株は不安定な動きは継続しやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.255%

・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%

                21/10/21-▲2.758%、22/4/19-▲1.713%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・5月9日:▲2.046%⇒5月10日:予想▲2.105%(前日比で拡大:割安)

 

5月10日のNYダウは4日続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.255%から▲1.150%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.121%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.997%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.436%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.912%下回った。NYダウは、大幅反発してスタートしたが、買い一巡後は方向感のない動きとなった。NYダウは朝方に506ドル高まで上昇したが、357ドル安まで下落し、その後再びプラス圏を回復したものの、84.96ドル安(-0.26%)と4日続落して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.776%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

               21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・5月9日:▲2.505%⇒5月10日:予想▲2.539%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は小幅反発した一方で、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.776%から▲0.237%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.330%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.463%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.640%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.960%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.683%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.752%

・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

              21/11/23-1.299%、22/4/19-0.513%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・5月9日:▲0.960%⇒5月10日予想▲0.967%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは反発した一方で、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.752%から▲0.785%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.212%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.416%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.531%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.836%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.127%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下した一方で、株価は上昇したものの前日比で小幅に拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.9%台半ばまで縮小していることで、割高感が強まっている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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