★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は小反発した一方で、ナスダック総合指数は小幅続落する展開になった。ソフトウェアメーカーのマイクロソフト(MSFT)やクレジットカード会社のビザ(V)決算を好感した買いが相場を支え、寄り付き後は上昇した。3月中古住宅販売成約指数が予想を下振れ一時下落に転じるも、中国の2都市でコロナ感染が落ち着く兆しとの報道で、世界経済の成長減速への脅威も後退し再び上昇した。値ごろ感から押し目買い意欲も強まり、NYダウはプラス圏を維持した。一方、ハイテクは金利高を警戒し小幅下落した。一方、長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めが意識される中、債券売りが優勢となった。5年債入札が『やや低調』と受け止められたことも相場の重石になった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇した一方で、NYダウとS&P500指数は小幅反発、ナスダック総合指数は小幅続落したものの縮小した。イールドスプレッドの観点からは割高感が残っている。そのため、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は33.52から31.60へ低下した。しかし、VIX指数が30台で推移していることで、米国株は不安定な動きは継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.260%
・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%
21/10/21-▲2.758%、22/4/19-▲1.713%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・4月26日:▲2.184%⇒4月27日:予想▲2.070%(前日比で縮小:割高)
4月27日のNYダウは小幅反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.260%から▲1.190%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.156%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.032%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.471%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.947%下回った。NYダウは、決算発表銘柄が高安まちまちとなる中、引け後のメタ(フェイスブック)や翌日以降のアップル、アマゾンの決算発表を控えた様子見が続いた。前日に809ドル安となったNYダウは457ドル高まで上昇後、131ドル安まで反落したが、61.75ドル高(+0.19%)と小幅に反発して終了した。決算が嫌気されたボーイングが7.53%安となったものの、好決算を発表したビザが6.47%高、マイクロソフトが4.81%高となりNYダウを押し上げた。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.777%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%
21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・4月26日:▲2.583%⇒4月27日:予想▲2.467%(前日比で縮小:割高)
S&P500が小幅反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.777%から▲0.310%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.402%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.535%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.712%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.032%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.755%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.755%
・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
21/11/23-1.299%、22/4/19-0.513%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・4月26日:▲1.056%⇒4月27日予想▲0.952%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが小幅続落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.755%から▲0.803%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.227%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.431%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1546%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.851%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.142%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価は小幅続落したものの前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.9%台半ばまで縮小していることで、割高感が強まっている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。