★NY株式市場では、主要三指数全てで大幅反落する展開になった。新型コロナウイルス感染が拡大する中国を中心に世界景気の先行き不透明感を嫌気されたほか、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めが懸念され投資家心理が悪化し、寄り付き後は下落した。ロシア外相が核戦争のリスクに言及したほか、ロシアがポーランドへの天然ガス供給予告をしたとの報道も売り材料となった。さらに、主要企業決算で、全般的に内容は予想を上回っているものの、コストの上昇などを理由に悲観的な見通しが目立ち、投資家のさらなる失望感に繋がり終日軟調に推移した。引けにかけて下げ幅を拡大した。一方、長期金利は、中国経済の不透明感に加えて、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めが意識されると、世界経済の成長鈍化懸念から相対的に安全資産とされる米国債に買いが集まった。米国株の大幅下落も債券買いを促した。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が低下したうえ、三指数ともに大幅反落したことで拡大した。ただ、イールドスプレッドの観点からは割高感が残っている。そのため、上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は27.02から33.52へ上昇した。VIX指数が30台半ばへ上昇となっていることで、米国株は不安定な動きは継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.260%
・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%
21/10/21-▲2.758%、22/4/19-▲1.713%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・4月25日:▲1.945%⇒4月26日:予想▲2.160%(前日比で拡大:割安)
4月26日のNYダウは大幅反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.260%から▲1.100%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.066%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.942%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.381%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.857%下回った。NYダウは、中国での新型コロナウイルスの感染拡大や、ロシアが核戦争の可能性について言及したこと、米国のインフレ高進などで世界的な景気悪化懸念が強まった。中国を主要市場の一つとするテスラが12%超下落したほか、先週36%下落したネットフリックスも5.5%安と続落した。弱い見通しが嫌気されたゼネラル・エレクトリック(GE)は10.3%下落し、引け後に決算発表を控えるマイクロソフトとアルファベットも3%超下落した。NYダウも809.28ドル安(-2.38%)とほぼ安値引けとなった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.777%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%
21/1/11-▲2.320%、22/4/19-▲1.989%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・4月25日:▲2.326%⇒4月26日:予想▲2.574%(前日比で拡大:割安)
S&P500が大幅反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.777%から▲0.203%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.295%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.428%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.605%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.925%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.648%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.755%
・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
21/11/23-1.299%、22/4/19-0.513%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・4月25日:▲0.816%⇒4月26日予想▲1.064%(前日比で拡大:割安)
NASDAQが大幅反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.755%から▲0.691%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.115%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.319%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1434%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.739%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.030%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価も大幅反落したことで前日比で大幅拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.0%台半ばまで縮小していることで、割高感が強まっている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。