シティグループが算出しているエコノミック・サプライズ指数(びっくり指数)は、各種経済指標と事前予想との食い違い(かい離幅)を指数化し、ゼロ(予想通り)を挟んで、上下(プラス・マイナス)で示した指数である。雇用や生産などの各種経済指標が事前の市場予想と比べてどうだったかを指数化したもので、実績が予想を上回れば指数は上昇、逆に下回れば下落する仕組みとなっている。
この指数は市場の期待値に対して上回るものが多いのか、それとも下回るものが多いのかを示す指数である。市場の期待値に対して上回る指標が多ければ当然に株価や通貨が高くなりやすい。一方で、市場の期待値を下回り続けると、市場参加者が景気の先行き懸念が生じることから、遅行して株価や通貨などが下落しやすい。
4月19日付のびっくり指数で日米欧を比較してみると、米国(黄線):+64.8、欧州(緑線):+24.0、日本(赤線):▲39.6になっている。
米国は利上げしてもなお予想を上回る経済指標が多く方向的にも上昇基調となっている。欧州はプラス圏で推移しているものの、緩やかに下向きになっており先行きの経済指標に不透明感が残る。そして日本は、1月26日の+33.3から3月28日には▲70.8まで低下した。4月1日に▲34.8まで回復したものの再び低下傾向になっている。
これらのことからも、米国の経済が一番強く利上げに耐えられる状態となっている。欧州はプラス圏にあるものの、先行き不透明感が強くなっており金融引き締めも慎重姿勢にならざるを得ない。日本は欧米の景気回復基調からはかい離しており、金融緩和の継続が必須となっている。
びっくり指数から見ると、日銀の金融緩和姿勢維持の動きが理解出来る。