★NY株式市場では、主要三指数ともに全て続落する展開になった。4月の建設企業のセンチメントが悪化したほか、世銀が2022年の世界経済成長率を引き下げたため、寄り付き後は下落した。加えて、連邦準備制度理事会(FRB)が5月連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利上げに踏み切るとの憶測が一段と強まり金利が上昇したため下げ幅を拡大した。同時に、押し目からは値ごろ感による買いも見られ一時上昇に転じる局面もあったがプラス圏を維持できず、戻り売りに押される展開となった。一方、長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレに対応するため、積極的な利上げを実施していくとの見方から債券売り(利回りは上昇)が進んだ。利回りは時間外で一時2.8795%前後と2018年12月以来約3年4カ月ぶりの高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇した一方で、三指数全てで続落したものの縮小した。割高感が強まっていることから上値追いよりも、下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は22.70から22.17へ低下した。ただ、VIX指数が20台乗せとなっていることで、米国株は不安定な動きは継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.263%
・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%
21/10/21-▲2.758%、22/4/14-▲1.885%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・4月14日:▲1.885%⇒4月18日:予想▲1.857%(前日比で縮小:割安)
4月18日のNYダウが続落した一方で、米長期金利は上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.263%から▲1.406%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.369%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.245%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.684%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.160%下回った。NYダウは、決算が予想を上回ったバンク・オブ・アメリカなどが上昇したものの、長期金利や商品相場の上昇が続いたことが上値圧迫要因となったほか、翌日以降のネットフリックスやテスラの決算発表を控えた様子見姿勢も強まった。NYダウは朝方に167ドル高まで上昇後、終盤に172ドルまで下落し、39.54ドル安(-0.11%)と小幅に続落して終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%
21/1/11-▲2.320%、22/4/14-▲2.165%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・4月14日:▲2.165%⇒4月18日:予想▲2.133%(前日比で縮小:割高)
S&P500が続落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から▲0.646%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.736%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.869%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.046%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.366%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.089%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.757%
・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
21/11/23-1.299%、22/4/14-0.689%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・4月14日:▲0.689%⇒4月18日予想▲0.662%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが続落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.757%から▲1.095%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.517%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.721%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.836%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.141%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.432%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価が続落したものの前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.6%台半ばまで縮小していることで、割高感が非常に強まっている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。