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イールドスプレッドで3月29日の米国株市場を先取り!

2022.03.29

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て上昇する展開になった。バイデン政権が28日公表した予算教書で、超富裕層や企業に対する増税が明らかになり、寄り付き後は下落した。連邦準備制度理事会(FRB)の急激な利上げで、景気減速に陥るとの懸念も浮上し、終日軟調に推移した。しかし、引けにかけ、ロシアとウクライナの2週間ぶりの対面協議を控えた停戦期待に下げ幅を縮小した。また、原油先物相場の下落で消費関連銘柄の一角に買いが入ると相場はプラス圏を回復した。さらに、金利低下に伴うハイテク株の上昇が相場を押し上げた。一方、長期金利は、足もとで相場下落が続いたあとだけに自律反発狙いの買い(利回り低下)が入ったほか、原油安でインフレへの懸念が和らいだことが債券買いを誘った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が低下した一方で、主要三指数は反発する動きになったものの、イールドスプレッドはNYダウは拡大したものの、S&P500とナスダック総合は縮小した。そのため、割高感が急速に強まる展開になった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は20.81から19.63へ低下した。VIX指数が20台割れとなっているものの、ボラティリティの高い相場が継続している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.269%

・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%

                21/10/21-▲2.758%、22/3/25-▲2.081%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月25日:▲2.081%⇒3月28日:予想▲2.082%(前日比で僅かに拡大:割安)

 

3月26日のNYダウが続伸した一方で、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で僅かに拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.269%から▲1.187%と平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.079%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.020%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.459%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.935%下回った。NYダウは、ウクライナ情勢への懸念などで下落する場面もあったが、長期金利の低下、原油安、リセッション懸念の後退などを追い風にハイテク株が上昇し、相場をけん引した。NYダウは一時309ドル安まで下落したが、94.65ドル高(+0.27%)と、ほぼ一日の高値で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.781%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

               21/1/11-▲2.320%、22/3/25-▲2.333%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・3月25日:▲2.333%⇒3月28日:予想▲2.313%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.781%から▲0.468%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.556%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.689%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.866%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.186%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.909%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.762%

・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

              21/11/23-1.299%、22/3/25-0.863%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・3月25日:▲0.863%⇒3月28日予想▲0.834%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが反発した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.763%から▲0.929%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.345%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.549%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.664%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.969%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.260%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は低下した一方で、株価は反発したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.8%前半まで縮小していることで、割高感が非常に強まっている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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