★NY株式市場では、NYダウとS&P500は続伸した一方で、ナスダック総合指数は反落する展開になった。買戻しの流れに、寄り付き後は上昇した。しかし、2月中古住宅販売成約指数や3月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値が悪化したことが嫌気され伸び悩んだ。その後、2年債や10年債の利回りが2019年来の高水準に達したほか、サウジの石油貯蔵所がイラン支援の武装組織フーシの攻撃を受けたとの報道で警戒感が広がり下落に転じる局面もあったが、エネルギーセクターがけん引したほか押し目買い意欲強く引けにかけ再び上昇した。ただ、長期金利の上昇で高PER(株価収益率)のハイテク株に売りが出た。一方、長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)高官によるタカ派的な発言が相次ぐ中、積極的な米金融引き締めが意識されて債券売り(利回りは上昇)を促した。利回りは一時2.5009%前後と2019年5月以来の高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅上昇した一方で、主要三指数はまちまちの動きになったものの、イールドスプレッドは三指数ともに縮小した。そのため、割高感が急速に強まる展開になった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は21.67から20.81へ低下した。VIX指数が30台割れとなっているものの、20超えの高水準で推移していることで、ボラティリティの高い相場が継続している。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.269%
・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%
21/10/21-▲2.758%、22/3/23-▲2.204%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・3月24日:▲2.204%⇒3月25日:予想▲2.079%(前日比で縮小:割高)
3月25日のNYダウが続伸したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.269%から▲1.190%と平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.147%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.023%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.462%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.938%下回った。NYダウは、長期金利の上昇を受けてハイテク株が軟調となったものの、エネルギー、金融株などが上昇した。NYダウは153.30ドル高(+0.44%)と2日続伸した。ホーム・デポ、セールスフォースが1%超下落したものの、トラベラーズ、シェブロン、IBM、ナイキ、プロクター・アンド・ギャンブルなどが1%超上昇した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.781%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%
21/1/11-▲2.320%、22/3/22-▲2.457%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・3月24日:▲2.460%⇒3月25日:予想▲2.333%(前日比で縮小:割高)
S&P500が小幅続伸したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.781%から▲0.448%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.536%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.669%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.846%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.166%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.889%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.762%
・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
21/11/23-1.299%、22/3/24-0.969%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・3月24日:▲0.969%⇒3月25日予想▲0.871%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.763%から▲0.892%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.308%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.512%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.627%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.932%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.223%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇した一方で、株価は反落したものの前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.8%後半まで縮小していることで、割高感が非常に強まっている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。