★NY株式市場では、主要三指数ともに反発する展開になった。原油価格の反落で、インフレへの懸念が和らぎ、安心感から寄り付き後は上昇した。新規失業保険申請件数が53年ぶり低水準を記録したほか、3月PMIも改善したため景気回復への期待が再燃し終日堅調に推移した。引けにかけ、半導体の上昇がけん引し、一段高となった。一方、長期金利は、前週分の米新規失業保険申請件数が予想よりも強い結果となったことを受けて売り(利回りは上昇)が先行した。米国株相場の上昇も相場の重石となった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇したうえ、主要三指数も反発したことで、イールドスプレッドは三指数ともに縮小した。そのため、割高感が急速に強まる展開になった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は23.57から21.67へ低下した。VIX指数が30台割れとなっているものの、20超えの高水準で推移していることで、ボラティリティの高い相場が継続している。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.270%
・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%
21/10/21-▲2.758%、22/3/22-▲2.217%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・3月23日:▲2.346%⇒3月24日:予想▲2.220%(前日比で縮小:割高)
3月24日のNYダウが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.270%から▲1.050%と平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.006%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.882%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.321%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.797%下回った。NYダウは、新規失業保険申請件数が1969年以来の水準に低下し、米国経済の堅調が確認されたことや、原油相場が下落したことでセンチメントが改善した。前日に448ドル下落したNYダウは349.44ドル高(+1.02%)と反発した。インテルが6.94%高と急伸したほか、アップル、ユナイテッドヘルスも2%超上昇した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.781%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%
21/1/11-▲2.320%、22/3/22-▲2.457%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・3月23日:▲2.610%⇒3月24日:予想▲2.463%(前日比で縮小:割高)
S&P500が反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.781%から▲0.318%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.406%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.539%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.716%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.036%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.759%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.763%
・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
21/11/23-1.299%、22/3/22-0.981%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・3月23日:▲1.114%⇒3月24日予想▲0.970%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが反発したうえ、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.763%から▲0.793%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.209%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.413%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.528%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.833%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.124%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も反発したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.9%後半まで縮小していることで、割高感が非常に強まっている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。