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イールドスプレッドで12月20日の米国株市場を先取り!

2021.12.18

 

★NY株式市場では、主要三指数は全てで続落する展開になった。国内でも新型コロナのオミクロン変異株感染が急増し、回復を抑制するとの警戒感に寄り付き後は下落した。四半期ごとに実施される引け後の指数のリバランシングを見据え、さらに、株価指数の先物やオプション、シングル株オプションなど4つの取引期限が重なるクアドラプル・ウィッチングでテクニカルな売りも重石となった。さらに、連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事の『3月連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げも選択肢となる』とのタカ派発言も売り材料となり、終日軟調に推移した。感染拡大による規制強化で、経済活動が停滞するとの懸念が高まると、アメリカン・エキスプレスやキャタピラーなど景気敏感株に売りが出た。米長期金利の低下でゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株も売られた。原油安を背景にシェブロンも値下がりした。一方、長期金利は、ウォラーFRB理事のタカ派発言を受け中期債は売られた(利回りは上昇)。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大を嫌気して株価が軟調に推移すると、相対的に安全資産とされる米国債に買い(利回りは低下)が入った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、株価の下落と米長期金利が低下したことで全般割高は和らいだ。

 

世界的にオミクロン変異株の感染の速さが懸念されたほか、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は20.57から21.57へ上昇した。VIX指数が再び20台を上回ってきたことで、リスク回避の動きは継続している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.283%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月16日:▲3.014%⇒12月17日:予想▲3.088%(前日比で拡大:割安)

 

12月17日のNYダウは大幅続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.283%から▲0.195%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.138%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.014%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.453%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.929%下回った。NYダウは、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締め策に舵を切ったことが引き続き嫌気されたほか、足もとでの新型コロナウイルス感染拡大も投資家心理の悪化につながった。週末の取引となったほか、株価指数先物・オプション、個別株オプションなどの最終売買日が集中するクワドルプル・ウィッチングだったこともボラティリティを高めた。NYダウは軟調にスタートすると、613ドル安まで下落した。その後、下落幅を縮小する場面もあったが、532.20ドル安(-1.48%)とほぼ一日の安値圏で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月16日:▲2.998%⇒12月17日:予想▲3.052%(前日比で拡大:割高)

 

S&P500が続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.779%から+0.273%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.817%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.950%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.127%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.447%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.170%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.769%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月16日:▲1.644%⇒12月17日予想▲1.655%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは小幅続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.769%から▲0.114%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.524%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.728%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.843%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.148%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.439%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は低下したうえ、株価も小幅続落したことで前日比で拡大した。ただ、イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台半ばへスプレッドが拡大したことで割高感はやや和らいだ。ただ、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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