★NY株式市場では、主要三指数は全て続伸する展開になった。新型コロナのオミクロン変異株による経済への影響が限定的で、景気回復期待が再燃し、寄り付き後は上昇した。さらに、金利動向の安定でハイテク株の買いも強く、終日堅調に推移した。景気敏感株中心に買いが集まった。一方、長期金利は、新型コロナウイルスの変異型『オミクロン株』のまん延が景気悪化につながるとの懸念が和らぎ、世界的に株価が上昇した。安全資産とされる米国債に売り(利回りは上昇)が出た。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、株価の反発と米長期金利が上昇したことで割高強まる結果となった。
世界的にオミクロン変異株の懸念が和らいできたほか、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は27.18から21.89へ低下した。しかし、VIX指数が20台前半を維持していることから、リスク回避の動きは継続している。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.284%
・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%
21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月6日:▲3.096%⇒12月7日:予想▲2.992%(前日比で縮小:割高)
12月7日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.284%から▲0.292%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.234%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.110%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.549%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.025%下回った。NYダウは、新型コロナウイルス変異株(オミクロン株)への警戒感が和らぐ中、ハイテク株を中心に足もとで大きく下落した銘柄に押し目買いが強まった。オミクロン株については週末にホワイトハウスのファウチ首席医療顧問が重症化リスクはそれほど高くないようだとコメントしたほか、英グラクソスミスクラインがモノクロナール抗体治療薬が全てのオミクロン変異株に有効だとしたことも安心感につながった。NYダウは一時592ドル高まで上昇し、492.40ドル高 (+1.40%)と2日続伸して終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.778%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・12月6日:▲3.047%⇒12月7日:予想▲2.916%(前日比で縮小:割高)
S&P500が続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.778%から+0.138%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.953%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.086%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.263%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.583%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.306%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.770%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%
21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・12月6日:▲1.605%⇒12月7日予想▲1.474%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.770%から▲0.296%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.705%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.909%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.024%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.329%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.620%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台後半までスプレッドが縮小したことで、過熱感が強まった。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。