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イールドスプレッドで12月1日の米国株市場を先取り!

2021.12.01

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て下落する展開になった。11月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)や11月消費者信頼感指数が予想以上に悪化したため、寄り付き後は下落した。その後、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が上院銀行委証言での質疑応答でインフレ高進が持続する可能性を警告し、12月連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入縮小ペース加速の選択肢を協議することが妥当との考えを示したため売りが加速し、終日軟調に推移した。一方、長期金利は、新型コロナウイルスの変異型『オミクロン株』の感染拡大への懸念から買い(利回りは低下)が先行した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のタカ派的な発言を受けて売り(利回りは上昇)が出る場面もあったが、株安を背景に引けにかけては再び強含んだ。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が急低下してことで割高感が一服した。

 

世界的に感染拡大が縮小してきており、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は22.96から27.19へ上昇した。VIX指数が20台後半で推移していることで、リスク回避の動きが強まっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.285%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月29日:▲3.014%⇒11月30日:予想▲3.176%(前日比で拡大:割安)

 

11月30日のNYダウは大幅下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.285%から▲0.109%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.050%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.926%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.365%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.841%下回った。NYダウは、モデルナのCEOが既存の新型コロナウイルスワクチンは南アフリカで新たに発見された変異株(オミクロン株)に対する有効性が低い可能性があると発言したことなどで、コロナ変異株への警戒感が再び高まったことや、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がテーパリング(資産購入の段階的縮小)のスピードアップの可能性を示したことが嫌気された。パウエルFRB議長は議会証言で12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリングを加速させることを議論するとし、テーパリング終了が数カ月早まるかもしれないとした。先週金曜日に905ドル安となったNYダウは前日に236ドル高と反発したが、この日は再び652.22ドル安(-1.86%)と大幅反落した。アップルが3%超上昇したものの、セールスフォース、トラベラーズ、アメリカン・エキスプレス、3Mなどが3%超下落し、NYダウを押し下げた。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.778%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月29日:▲2.913%⇒11月30日:予想▲3.047%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が大幅下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.778%から+0.269%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.822%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.955%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.132%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.452%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.175%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.770%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月29日:▲1.470%⇒11月30日予想▲1.566%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは大幅下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.770%から▲0.204%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.613%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.817%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.932%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.237%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.528%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価も下落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台半ばで推移している。ただ、2%台に拡大するまでは割安にはなり難い。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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