★NY株式市場では、主要三指数は全て大幅下落する展開になった。新たに検出された新型コロナの南ア変異株が世界経済の回復を損ねるとの懸念にアジアや欧州市場の流れを継いで、寄り付き後は大きく下落した。南アフリカで感染力が強いとされる新型コロナウイルス変異株が確認されたことで世界経済の先行き不透明感が広がり、リスク回避の売りが膨らんだ。消費や航空関連が下げを主導し、一時1054ドル下げた。下げ幅は今年最大となった。 短縮取引で参加者が限られる中、終日安値を探る展開となった。一方、長期金利は、アフリカ南部で感染力が強いとされる新型コロナウイルス変異株が確認されたことで世界経済の先行き不透明感が広がり、世界的に株価が下落した。安全資産とされる米国債に買い(利回りは低下)が入った。利回りは一時1.4697%前後と10日以来の低水準を付けた。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が急低下してことで割高感が一服した。
世界的に感染拡大が縮小してきており、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は18.58から28.62へ上昇した。VIX指数は20を超えたことで、過度なリスク回避の動きが強まった。世界的な株価下落などを受け、リスク回避の動きから米FRBによる早期利上げの思惑が後退した。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.285%
・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%
21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・11月24日:▲2.841%⇒11月26日:予想▲3.119%(前日比で大幅拡大:割安)
11月64日のNYダウは大幅下落したうえ、米長期金利も大幅に低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.285%から▲0.166%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.107%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.983%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.422%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.898%下回った。NYダウは、感謝祭の翌日で午後1時までの短縮取引となったが、南アフリカで発見された新しい新型コロナウイルス変異株への警戒感から全面安となった。NYダウは一時1054ドル安まで下落し、905.04ドル安(-2.53%)の34899.34ドルで終了した。下落率は今年最大となった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.778%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・11月24日:▲2.730%⇒11月26日:予想▲2.993%(前日比で拡大:割安)
S&P500が大幅下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.778%から+0.215%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.876%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.009%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.186%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.506%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.229%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.770%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%
21/2/16-1.144%、21/10/21-1.342%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・11月24日:▲1.317%⇒11月26日予想▲1.546%(前日比で拡大:割安)
NASDAQは大幅反落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.770%から▲0.224%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.633%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.837%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.952%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.257%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.548%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下したうえ、株価も大幅反落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台半ばまで急拡大する展開になった。ただ、2%台に拡大するまでは割安にはなり難い。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。