★NY株式市場では、NYダウは反発した一方で、S&P500指数とナスダック総合指数は反落する展開になった。中国恒大のドル建て債利払い実施で短期的な破たんリスク後退で安心感が広がり、寄り付き後は上昇した。10月PMIの上昇も手伝いNYダウは日中取引で一時史上最高値を更新した。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が討論会でインフレのリスクに言及すると早期の利上げ観測が強まりNYダウは下落に転じた。引けにかけては好決算を受けた買いが再燃し、再び上昇して終了した。ハイテク株は売られナスダック総合指数は下落した。一方、長期金利は、足もとで相場下落が続いたあとだけに持ち高調整目的の買い(利回りは低下)が入った。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がオンライン会合でインフレリスクを指摘すると、金融政策の正常化が早まるとの懸念から債券売り(利回りは上昇)が強まる場面もあったが、反応は一時的だった。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇してきていることから、やや割高感が出始めてきている。
世界的に感染拡大が縮小してきており、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は15.01から15.43へ上昇した。VIX指数が20を下回っていることもあり、相場的には安定方向に向かっている。しかし、長期金利の上昇と株高が並行していることで、急速に米国株式市場全般に割高感が浮上してきている。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.288%
・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%
21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・10月21日:▲2.758%⇒10月22日:予想▲2.814%(前日比で拡大:割安)
10月22日のNYダウは小幅反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.288%から▲0.474%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.412%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.288%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.727%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.203%下回った。NYダウは、決算が嫌気されたインテルやスナップなどの一部のハイテク株が下落した一方、決算が好感されたアメリカン・エキスプレスなどの優良株が上昇した。中国不動産大手の中国恒大集団が米ドル債の利払いを実施すると伝わり、デフォルト懸念がやや後退したことも支援材料となった。一昨日に取引時間中の最高値を更新したNYダウは73.94ドル高(+0.21%)と反発し、2カ月ぶりに終値の最高値を更新した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.778%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・10月21日:▲2.684%⇒10月22日:予想▲2.754%(前日比で拡大:割安)
S&P500が小幅反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.778%から▲0.024%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.115%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.248%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.425%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.745%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.468%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.773%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%
21/2/16-1.144%、21/10/21-1.342%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・10月21日:▲1.342%⇒10月22日予想▲1.433%(前日比で拡大:割安)
NASDAQは反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.773%から▲0.340%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.746%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.950%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.065%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.370%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.661%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価も反落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台前半まで縮小推移していることで割高感が強まっている。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。