★NY株式市場では、主要三指数は全て続伸する展開になった。日本や香港、欧州市場の株安が波及したほか、インフレ懸念や債務不履行への警戒感に寄り付き後は、下落し一時450ドル超下げた。金融アナリストによる企業の見通し引き下げが相次いだことも失望感に繋がり、下げ幅を拡大した。膠着状態だった債務上限協議において、共和党が妥協案を提示したとの報道で警戒感が後退し、引けにかけて、上昇に転じた。一方、長期金利は、原油高などを受けたインフレ懸念の高まりで時間外取引では売り(利回りは上昇)が優勢となったが、原油先物相場が一転下落すると買い戻し(利回りは低下)が入り持ち直した。市場では『8日の9月米雇用統計を前に持ち高調整の買いが入った』との指摘があった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感のほか、中国大手不動産の恒大集団の経営危機懸念が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は21.30から21.00へ低下した。VIX指数が20を上回っていることもあり、相場的には不安定な状態が継続している。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.289%
・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%
20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・10月5日:▲3.068%⇒10月6日:予想▲3.061%(前日比で縮小:割高)
10月6日のNYダウは続伸した一方で、米長期金利はわずかに低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.289%から▲0.228%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.165%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.041%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.480%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.956%下回った。NYダウは、下落してスタートしたものの、連邦債務上限問題で野党共和党が12月までの債務上限停止の延長を認める方針を示したことで過度な警戒感が和らいだ。NYダウは朝方に459ドル安まで下落後、102.32ドル高(+0.30%)と2日続伸して終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.777%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・10月5日:▲3.015%⇒10月6日:予想▲3.003%(前日比で縮小:割高)
S&P500が続伸した一方で、米長期金利はわずかに低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.777%から+0.226%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.866%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.999%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.176%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.496%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.219%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.774%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%
21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・10月5日:▲1.658%⇒10月6日予想▲1.649%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは続伸した一方で、米長期金利はわずかに低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.774%から▲0.125%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.530%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.734%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.849%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.154%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.445%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利はわずかに低下した一方で、株価が続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台半ばで推移しているが、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。