★NY株式市場では、主要3指数は全て続落する展開になった。バイデン政権のインフラ案法制化への期待が後退したほか、連邦準備制度理事会(FRB)が公表する7月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨への警戒感から寄り付き後は下落した。その後も、様子見気配が強まり、もみあいが続いた。議事要旨の中で、年内の緩和縮小の可能性が示唆されると警戒感が強まり、引けにかけて売りにさらに拍車がかかり、一時400ドル近く下落した。一方、長期金利は、米FOMC議事要旨を控えて売り(利回りは上昇)が先行したものの、議事要旨公表後は『ほぼ想定の範囲内』との見方から買い直された。米国株相場の下落も債券買い(利回りは低下)を誘った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は17.91から21.57へ上昇した。VIX指数は20を上回る展開になっており、相場が不安定化してきている。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.291%
・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%
20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・8月17日:▲3.172%⇒8月18日:予想▲3.221%(前日比で拡大:割安)
8月18日のNYダウが大幅続落したうえ、米長期金利もわずかに低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.291%から▲0.070%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.005%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.881%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.320%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.796%下回った。NYダウは、軟調にスタートすると、午後に公表されたFOMC議事要旨で年内の資産購入の段階的縮小(テーパリング)開始が示唆されたことで下落幅を拡大した。NYダウは382.59ドル安(-1.08%)とほぼ一日の安値で終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.773%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・8月17日:▲3.162%⇒8月18日:予想▲3.211%(前日比で拡大:割安)
S&P500が続落しうえ、米長期金利もわずかに低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.773%から+0.438%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.658%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.791%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲0.968%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.288%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.011%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.775%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%
21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・8月17日:▲1.762%⇒8月18日予想▲1.796%(前日比で拡大:割安)
NASDAQが続落したうえ、米長期金利もわずかに低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.775%から▲0.021%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.383%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.587%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.702%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.007%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.298%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利がわずかに低下したうえ、株価も続落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.7%台後半までスプレッドが拡大してきた。そのため、割高感はだいぶ薄れてきた。しかし、米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。