★NY株式市場では、主要三指数ともに全て小幅続伸する展開になった。米連邦公開市場委員会(FOMC)を控える中、週明けポジション調整目的の売りが出た。また、6月新築住宅販売件数がパンデミック下で最低水準となったほか、ダラス連銀製造業活動指数も予想外に悪化した結果に失望し、寄り付き後は下落した。しかし、企業の好決算への根強い期待に、上昇に転じた。民主党上院のシューマ―院内総務が超党派のインフラ案の法制化を公約すると発言すると、回復期待も強まり引けにかけて上げ幅を拡大し、NYダウ、ナスダック総合指数は史上最高値を更新して終了した。一方、長期金利は、6月米新築住宅販売件数が予想より弱い内容となったことを受けて債券買い(利回りは低下)が入る場面もあったが、米国株相場が史上最高値を更新すると徐々に売り(利回りは上昇)が優勢となった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は17.20から17.58へ上昇した。VIX指数は再び20を下回る展開になっており、リスク回避の動きが後退して相場安定の動きになっている。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.292%
・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%
20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・7月23日:▲3.030%⇒7月26日:予想▲3.000%(前日比で縮小:割高)
7月26日のNYダウが小幅続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.292%から▲0.292%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.226%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.102%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.541%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.017%下回った。NYダウは、引け後のテスラや翌日以降のアップル、マイクロソフト、アルファベットの決算発表、水曜日午後のFOMC結果公表を控える中、好決算期待や金融緩和の継続期待を背景に主要3指数がそろって最高値更新を続けた。NYダウは先週末水準を挟んでもみ合ったが、午後はプラス圏で推移し、82.76ドル高(+0.24%)と5日続伸して終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.771%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・7月23日:▲2.993%⇒7月26日:予想▲2.961%(前日比で縮小:割高)
S&P500は小幅続伸したうえ、米長期金利も上昇ことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.771%から+0.190%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.908%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.041%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.218%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.538%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.261%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.776%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%
21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・7月23日:▲1.544%⇒7月26日予想▲1.522%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが小幅続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.776%から▲0.254%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.657%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.861%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.976%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.281%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.572%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は上昇したうえ、株価も小幅続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台前半までスプレッドが拡大してきた。そのため、割高感はだいぶ薄れてきた。しかし、米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。