★年初来の日米2年債金利差(赤線)と日米10年債金利差(青線)の動向と、それに伴ったドル/円相場(黒破線)の動向を見てみる。
為替市場では、もともと日米2年債金利差の伸縮によって、ドル/円相場が変動しやすいと言われている。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックにより、米FRBが2023年末まで金融緩和を継続するとの方針から、2年債の金利変動が縮小して低位安定推移していた。そのため、日米2年債金利差の変動が小さくなったことで、一時は連動性がなくなっていた。
しかし、米国ではいち早いワクチン接種の普及などから、経済正常化に向けた期待が高まり、米FRBによる早期のテーパリングや利上げを織り込む形で、米国債券市場の利回り上昇につながってきている。そのため、米2年債も利回りの変動が出始め、日米金利差も伸縮する展開になってきた。
日米10年債金利差は年初から比較すると金利差が徐々に拡大したが、4月以降はほぼ横ばいのレンジ相場のような様相となっている。一方、2年債は年初に急拡大した後は、一旦金利差は縮小する傾向になった。しかし、2月22日の0.219%が縮小のボトムとなった後は、10年債金利差同様に拡大基調になった。ただ、4月以降は金利差拡大も4月2日の0.308%がピークとなり徐々に縮小傾向になっている。さらに、4月27日の0.306%以降は縮小傾向が強まり6月2日には0.257%まで縮小してきている。
それに伴って、ドル/円相場の上値も重くなってきており、横ばいレンジ入りとなってきている。
今後も日米金利差が縮小していくようなら、さらにドル/円の上値の重さが意識されるようになる。そのため、円安よりも円高基調になりやすい地合いになってきた。