★NY株式市場では、三指数ともに全て反発するする展開になった。米国では18歳以上の半数が新型コロナウイルスワクチンの必要な接種回数を完了した。ワクチン普及で米経済は正常化に向けて着実に進んでおり、買いが入りやすい地合いとなった。加えて、過度なインフレ懸念が和らいでいることも、ハイテク株の底堅さにつながった。半面、NYダウは史上最高値圏にあるだけに、利益確定売りも出やすく上値は重かった。一方、米長期金利は、米国株相場の反発を受けて、相対的に安全資産とされる米国債には売り(利回りは上昇)が出た。なお、5年債入札は前日の2年債入札と同様に堅調な需要を集めたが、相場の反応は限られた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は18.84から17.36へ低下した。VIX指数が再び20を下回ってきたことで、市場が安定化してくるかが注目される。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.297%
・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%
20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・5月25日:▲2.897%⇒5月26日:予想▲2.875%(前日比で縮小:割高)
5月26日のNYダウは反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.297%から▲0.422%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.351%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.227%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.666%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.142%下回った。NYダウは、新規コロナウイルス感染者数の減少やワクチン接種進展を受けてクルーズ株などの経済活動再開銘柄が引き続き買われたほか、ビットコイン価格の上昇も投資家のリスク選好を後押しした。ただ、来週月曜日がメモリアルデーで休場のため、3連休を控えた薄商いとなった。NYダウは10.59ドル高(+0.03%)とわずかながらプラス圏で終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.770%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・5月25日:▲2.812%⇒5月26日:予想▲2.784%(前日比で縮小:割高)
S&P500は反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.770%から+0.014%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.085%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.218%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.395%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.715%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.438%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.780%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%
21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・5月25日:▲1.527%⇒5月26日予想▲1.489%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.780%から▲0.291%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.690%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.894%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.009%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.314%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.605%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価が反発したことで縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台後半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。