★NY株式市場では、三指数全てで続伸する展開となった。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。バイデン米大統領が新型コロナウイルス克服を目指し、政策発足100日間のワクチン接種目標を1億回から2億回に引き上げたほか、インフラ投資の強化などを表明した。また、3月ミシガン大学消費者信頼感指数がパンデミック前の水準に戻したため、強い回復期待が広がり寄り付き後に上昇した。これを受けて、米景気回復への期待が高まりから景気敏感株や旅行関連株に買いが集まった。一方、長期金利の上昇がハイテク株の上値を抑制する局面もあったが、引けにかけて、主要株式数は上げ幅を拡大した。一方米長期金利は、米国で新型コロナウイルスのワクチン普及が加速し、経済活動の正常化が進むとの見方が強まると、相対的に安全資産とされる米国債に売り(利回りは上昇)が出た。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。ただ、米長期金利の上昇が止まらないことから、市場に警戒感が強まっている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は19.81から18.86へ低下した。VIX指数が20割れまで低下してきたことで、安定基調になるか注視される。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.307%
・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%
20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・3月25日:▲2.729%⇒3月26日:予想▲2.613%(前日比で縮小:割高)
3月26日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.307%から▲0.694%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.613%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.489%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.928%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.404%下回った。NYダウは、前日にバイデン米大統領が就任100日目を迎える4月末までに2億回のワクチン接種を目指すとし、ワクチン接種進展による経済活動正常化期待が続いたほか、FRBがインフレ指標とする2月コアPCEデフレーター(年率)が+1.4%と市場予想の+1.5%を下回ったことで過度なインフレ懸念が後退した。FRBが前日引け後に米銀の株主還元規制を6月末に解除すると発表したことや、3月ミシガン大消費者信頼感指数確報値が83.0から84.9に上方修正され市場予想の83.6を上回ったことも安心感につながった。
NYダウは453.40ドル高(+1.39%)と大幅に2日続伸した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.772%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・3月25日:▲2.644%⇒3月26日:予想▲2.517%(前日比で縮小:割高)
S&P500は続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.772%から▲0.255%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.352%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.485%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.662%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.982%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.705%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.787%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%
21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・3月25日:▲1.317%⇒3月26日予想▲1.224%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.787%から▲0.563%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.955%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.159%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.274%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.579%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.870%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も続伸したことで縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.2%台前半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。