★NY株式市場では、三指数全てで続落する展開となった。ドイツが復活祭前後のロックダウン強化計画を撤回し欧州の回復遅延への懸念が後退したほか、原油価格の上昇が好感され、寄り付き後、上昇した。また、米国で新型コロナウイルスワクチン接種が進む中、経済活動正常化への期待から買いが先行。一時360ドル超上げた。しかし、イエレン長官がバイデン政権の増税計画を再確認したほか民主党内で保守寄り議員が増税計画支持を表明すると、引けにかけて、下落に転じた。セールスフォース・ドットコムやアップルなどハイテク株が売られ、指数を押し下げると引け間際にマイナスに転じた。一方米長期金利は、米経済活動の正常化が進むとの見方から債券売り(利回りは上昇)が先行したものの、米国債への底堅い需要を示す5年債入札の結果を受けて債券買い(利回りは低下)が強まると持ち直した。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。ただ、米長期金利の上昇が止まらないことから、市場に警戒感が強まっている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は20.30から21.20へ上昇した。VIX指数は、20割れまで低下してくると市場は安定基調になりやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.307%
・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%
20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・3月23日:▲2.713%⇒3月24日:予想▲2.722%(前日比で拡大:割安)
3月24日のNYダウは続落したうえ、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.307%から▲0.585%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.504%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.380%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.819%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.295%下回った。NYダウは、ワクチン接種の進展による経済活動正常化期待から上昇してスタートしたものの、ハイテク株に売りが強まり、主要3指数がそろって安値引けとなった。NYダウは朝方に364ドル高まで上昇したものの、3.09ドル安(-0.01%)と小幅ながら続落して終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.772%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・3月23日:▲2.639%⇒3月24日:予想▲2.672%(前日比で拡大:割安)
S&P500は続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.772%から▲0.100%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.197%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.330%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.507%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.827%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.550%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.788%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%
21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・3月23日:▲1.257%⇒3月24日予想▲1.325%(前日比で拡大:割安)
NASDAQは続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.788%から▲0.463%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.854%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.058%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.173%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.478%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.769%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価も続落したことで拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.3%台前半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。