★NY株式市場では、三指数ともに全て反落する展開となった。欧州で新型コロナウイルスが収束せずドイツがロックダウンを延長するなど、欧州では新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、世界経済の正常化が遅れるとの懸念が強まった。上昇基調にあった金融や資本財など景気敏感株に利益確定の売りが出た。長期金利の低下にもかかわらず四半期末にかけたリバランスなども影響しハイテク株も下落した。また、 北朝鮮が短距離ミサイルを先週末に発射したとの報道を受けた地政学的リスク上昇への警戒感も強まり、下げ幅を拡大した。指数は一時370ドル超下げる場面があった。一方米長期金利は、欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大し、世界経済の正常化が遅れると懸念されたため、相対的に安全資産とされる米国債に買い(利回りは低下)が集まった。この日行われた2年債入札が堅調な需要を集めたことも相場の支援材料になった。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。ただ、米長期金利の上昇が止まらないことから、市場に警戒感が強まっている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は18.88から20.30へ上昇した。VIX指数は、再び20を超える展開となっておりボラティリティの高い相場が継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.308%
・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%
20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・3月22日:▲2.626%⇒3月23日:予想▲2.738%(前日比で拡大:割安)
3月23日のNYダウは反落したうえ、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.308%から▲0.570%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.488%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.364%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.803%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.279%下回った。NYダウは、世界的な新型コロナウイルス感染第3波の拡大が嫌気され、景気敏感株が幅広く下落した。NYダウはほぼ横ばいでスタートしたものの、終盤に下落幅を拡大し308.05ドル安(-0.94%)と反落して終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.772%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・3月22日:▲2.536%⇒3月23日:予想▲2.639%(前日比で拡大:割安)
S&P500は反落したうえ、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比でお幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)だった。平均値の▲2.772%から▲0.133%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.230%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.363%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.540%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.860%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.583%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.788%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%
21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・3月22日:▲1.164%⇒3月23日予想▲1.267%(前日比で拡大:割安)
NASDAQは大幅反落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.788%から▲0.521%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.912%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.116%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.231%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.536%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.827%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価は反落したことで拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.2%台半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。