FX(自動売買)・CFD・商品先物(金・原油)ならフジトミ証券

投資情報ナビ

【初心者必見】店頭FXと取引所FXの違いを徹底比較!メリット・デメリットも解説

2025.04.23

OTCとくりっく365の比較

店頭FXと取引所FXとは?違いをわかりやすく解説

FX(外国為替証拠金取引)には、「店頭FX」と「取引所FX」の2種類があります。それぞれの仕組みが異なるため、自分に合った取引を選ぶことが重要です。この記事では、2005年から店頭FXと取引所FX、それぞれのサービス立ち上げに携わってきた筆者が、表面だけではなく裏側の部分も含めてわかりやすく解説いたします。

店頭FXとは?

店頭FX(Over-the-Counter FX、OTC FX)は、証券会社やFX専業会社と投資家が1対1で取引を行う形態です。取引レートやスプレッド、スワップポイント、取引時間など各社で異なるのが特徴です。店頭FXでは、FX会社が独自のレートを提示しお客様はそのレートで取引をします。
※店頭取引:証券取引所などをを介さずに、金融機関と投資家が相対(あいたい)で取引をおこなうこと
※スプレッド:提示されているレート(Bid:買い気配値とAsk:売気配値)の価格差
※スワップポイント:異なる金利の通貨を取引する際に発生する金利差調整分のこと

 


※店頭FXでは、投資家から預かった投資金を信託銀行で信託保全することが義務付けられています。
※店頭FX会社の提示レートは、カバー先である(複数の)銀行のレートと投資家(顧客)の売買動向を基に独自のレートを作成して投資家に提示しています。
※店頭FX会社は、投資家との取引で保有している全てのポジションを最低でも1日に1回以上はカバーします。

 

店頭FX主な特徴

相対取引:投資家とFX会社の間で直接取引
スプレッドが狭いことが多い:手数料相当のコストが安い
⇒スプレッド固定と謳っているが、拡大することも
取引時間が長い:平日24時間取引可能な会社が多い
提示レートやスワップポイント、取引ルールが会社ごとに異なる

店頭FXのメリット

スプレッドが狭く投資家にとってはコストが低い
店頭FX会社が取引ツールや取引ルールでオリジナリティを出しやすい

店頭FXのデメリット

レートやスワップポイントが不透明
取引相手がFX会社なので倒産リスクも(基本的に投資家が預けた資金は店頭FX会社が信託銀行に信託保全)
その他、店頭FX会社の都合で、ストップ狩り約定拒否スリッページ強制的な口座解約などの例も

 

1. ストップ狩りについて

店頭FXでは、投資家が発注している「指値注文」や「逆指値注文(ストップ注文)」が、リアルタイムで全てFX会社側で丸見えになっています。そのため、ストップ注文が集中している価格帯が現在のレートに近い場合、FX会社がレートを一時的にその価格帯まで動かして、意図的にストップ注文を発動させることがあります。これにより、カバー取引(顧客の注文と同じ取引をカバー先銀行で反対売買すること)で利益を得る手法を**「ストップ狩り」**と呼びます。

※すべての店頭FX会社がこのような行為をしているわけではありません。

【具体例】
例えば、145円に買いの逆指値注文が多数入っているとします。現在の提示レートは144.80円、カバー先銀行のレートは144.75円です。FX会社が提示レートを瞬間的に145円に引き上げて投資家のストップ注文を約定させます。同時に、会社側は144.75円でカバー取引を行えば、その差額分(145円 – 144.75円)が利益になります。

 

2. スワップポイントの価格差について

店頭FXでは、「買いポジション」と「売りポジション」でスワップポイントに差があるケースが多いです。店頭FX会社がカバー先銀行に持っているポジションは、顧客のポジションをすべて相殺して、「買い」と「売り」の差分(ネットポジション)だけになっています。
このネットポジションを翌日に持ち越す際に、店頭FX会社は「トモローネクスト(トムネ、またはロールオーバー)」という処理をおこない、その際にスワップポイントが発生します。

【具体例】
たとえば、顧客のポジションが「買い100」「売り50」の場合、ネットポジションは「買い50」となります。このとき、カバー先銀行から受け取るスワップポイントが100円だった場合、店頭FX会社は以下のようにスワップポイントを付与することで収益を得られます。

買いポジションの顧客に +90円

売りポジションの顧客に −110円

このように付与すれば、FX会社は買いと売りの両方から合計10円の収益を得ることができます。ネットポジションが売りで、銀行にスワップを支払うケースでも同様の仕組みです。

 

よくある質問:

Q. 店頭FXでも買いと売りのスワップポイントが同じことがあります。それなら、スワップポイントで収益を得ていないのでは?

A. 一見、スワップが同じに見えるケースでも、実際は差益が発生しています。
例えば、上記のネットポジションのケースで、顧客に対し「買い +85円」「売り −85円」と同額のスワップポイントを表示していても、カバー先銀行から実際にもらっているスワップポイントが100円であれば、店頭FX業者には「買い50」に対して15円の利益が生じる計算になります。このように、顧客のポジションとカバー先から得られるスワップポイントを鑑みて、店頭FX業者は顧客に付与するスワップポイントを決定しています。

 

店頭FXで起こり得る約定拒否・スリッページ・口座解約の背景とは?

店頭FXでは、**投資家とFX会社が直接取引する「相対取引」**です。そのため、相場の急変時に「FX会社がカバー(ヘッジ)取引で不利な状況になるような取引」を頻繁に行う投資家に対して、FX会社のリスク回避のために特別な対応が取られることがあります。

■ 相場急変時に問題となるケース
例:経済指標発表直後にドル円が急騰しているタイミングで、投資家が「成行で買い注文」を出す。
この場合、投資家は価格が高くても買いたいという意思表示ですが、店頭FX会社は、投資家の注文を処理したあと、カバー先で買い注文を行う必要がある
しかしカバー先のレートがすでに急騰していた場合、145円で投資家に売って、146円でカバー先から買うと店頭FX会社は1円の損失が発生する
このような取引が続くと、店頭FX会社にとって深刻なリスクとなります。

■ FX会社が取る代表的な対応
① 約定拒否(注文が成立しない):投資家の注文を受け付けず、成立させない対応です。特に相場が急変しているタイミングでは、想定外の損失を防ぐために一時的に約定拒否を行う場合があります。

② スリッページ(価格のズレ):注文時に表示されていたレートと、実際に成立したレートがずれる現象。FX会社がまずカバー取引を行い、その価格をもとにあとから投資家の約定価格を決める処理をすることで、約定が遅れ、結果として投資家にとって不利な価格になることがあります。
✔ 例:
成行で「145円で買い」を出したが、実際に約定されたのは146.2円だった、など。

③ 強制的な口座解約:多くの店頭FX業者の利用規約には、「当社が不適切と判断した場合、口座を閉鎖できる」旨が記載されています。頻繁に相場急変時にFX会社にとってカバーが難しい注文を出す顧客に対しては利用規約違反(例:「当社が不適切と判断した場合は解約可能」などの条項)に基づいて「利用停止」や「強制解約」などの対応がとられる場合があります。
※これは、取引そのものが不正というより、会社側のリスク管理上の判断によるものです。

店頭FXのまとめ

店頭FXの最も魅力的な特徴は、そのスプレッドの狭さです。
そもそもインターバンク市場において大手金融機関が提示しているレートは、ドル円で通常2銭から3銭程度のスプレッドがあります。
以下は、2025年4月22日18:00時点の米ドル円レート(大手金融機関の提示レート)

出所:Bloomberg
そういった中で、いくら市場の状況(カバー先提示レート)と顧客の注文状況を見ながらレートを作成し提示している※とはいえ、0.2銭などといったカバー先であるインターバンク市場に比べても非常に狭いスプレッドでレート提示をおこなえるのは企業努力の賜物です。
※買う人が多そうなときは高めにレートを提示し、売る人が多そうなときは安めにレートを提示する等

 

取引所FXとは?

取引所FXとは、2005年に東京金融取引所へ上場した取引所為替証拠金取引「くりっく365」を意味します。取引所FXは、提示価格やスワップポイントの透明性が高く、ルールが統一されている点が特徴です。
※以前は後発の「大証FX」(大阪取引所に上場していたFX)という取引所FXもありましたが、現在は休止中になっています。(2009年7月から2014年10月まで)


※取引所FXでは、投資家が預け入れた投資金は全額を公的な取引所で保全
※レートは取引所で提示され、 投資家はそのレートで取引

 

取引所FXにおけるレート提示のイメージ

取引所FX「くりっく365」では、複数の金融機関※がレートを提示した上で、取引所が最も高い買い気配値(投資家が売れる価格)と最も安い売り気配値(投資家が買える価格)を抽出して投資家にレート提示しています。

【複数の金融機関(マーケットメイカー)】
・コメルツ銀行(コメルツバンク・アクツィエンゲゼルシャフト)
・ゴールドマン・サックス証券株式会社
・ドイツ証券株式会社
・野村證券株式会社
・バークレイズ銀行(バークレイズ・バンク・ピーエルシー)
・株式会社三菱UFJ銀行

 

主な特徴

公的な取引所での売買
スプレッドは変動型だが透明性あり
レートやスワップポイントは取扱業者全て共通
スワップポイントは一本値
⇒売り買いともに同じ金額で、取引所やFX会社はスワップポイントからの収益を得ていない
安心感:取扱業者は店頭FX業者よりも厳しい審査を受けている

取引所FXのメリット

レートやスワップの透明性が高い
信頼性が高い公的な取引所取引
各通貨ペアの証拠金額は1週間単位で変わるためわかりやすい
⇒店頭FXではリアルタイムに証拠金額が変動する
投資家の売買に基づくスリッページや約定拒否、強制口座解約は無い
⇒「取引所サイト くりっく365 特徴とメリット

取引所FXのデメリット

スプレッドは店頭FXに比べて広い
スプレッドは固定ではない
店頭FXに比べて取引ツールや取引ルールの自由度が低い
⇒取引所で取引単位などのルールが決められているため

 

どちらを選ぶべきか?初心者におすすめの選び方

〇コスト重視・頻繁に取引する人:店頭FXがおすすめ
〇透明性や信頼性を重視する人:取引所FX(くりっく365)がおすすめ
取引スタイルや目的に応じて、両者を使い分けるのも有効な方法です。

まとめ

店頭FXと取引所FXは、それぞれにメリット・デメリットがあります。自分の取引スタイルや求める条件に応じて、最適な選択をすることがFX取引を成功させる第一歩です。
これからFXを始めようと考えている方は、まずは少額から取引を始め、実際の取引感覚をつかむことをおすすめします。
なお、金融庁無登録の海外FX会社は、店頭FXを騙った詐欺会社ですので、ご注意ください。

※この記事では、筆者が店頭FXサービスの立ち上げからサービスの提供をおこなっていた2005年から2017年頃までの業界でおこなわれていた慣行や事実に基づき、メリットやデメリット等を解説していますが、現在の店頭FX会社の状況等について確認しているわけではありません。

 

 

  • プライム情報・記事一覧
  • 経済カレンダー
  • 相場表

▲ PAGE TOP