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食料問題とロシアへの依存度

2022.04.19

イメージ:食料問題とロシアへの依存度見出し

前回の記事「ロシアのウクライナ侵攻から1ヶ月」でもお伝えしましたが、ロシアのウクライナ侵攻への制裁からエネルギーや鉱山資源などで脱ロシアの動きが加速していますが、各国の事情があるようで、一筋縄にはいかない状況です。

特にドイツは、エネルギーの多くをロシアからの輸入に依存していたため、すぐに停止させることができず、新たなインフラ整備や再生可能エネルギーへの転嫁などの課題を抱えています。

身を切る覚悟でエネルギー使用量を制限すれば良さそうですが、現代の私達の生活は電気やガスなどのエネルギーを大量に消費することによって成り立っていますので、簡単にできることではありません。難しい問題です。

エネルギーと同様、人間が生きていく上で欠かせないものがあります。それが食料です。
以前お伝えしましたが、ウクライナは「欧州のパンかご」と呼ばれるほどの穀倉地帯ですが、実際はどうなのか。今回は食料品の輸出入データを元に分析してみたいと思います。

ウクライナとロシアの食料輸出状況

イメージ:サイロ

ウクライナとロシアの食料輸出割合(2019)

グラフ:ウクライナ、ロシアからの輸出
※出典:Our World in Data

ウクライナとロシアは様々な穀物を世界に輸出しています。特に輸出量が多いのが、ひまわり油、小麦、大麦、とうもろこしの4品です。ひまわり油に至っては、世界シェアの63.6%をこの2国でカバーしています。

問題は、これらの穀物がどこの国に輸出されているのかです。

順に見ていきます。
色の濃い国がウクライナ、ロシアの依存度の高い国です。

小麦

世界地図:小麦の輸入
※出典:Our World in Data

北アフリカや中央アフリカに色の濃い国があります。特にウガンダは輸入の99.17%をウクライナ、ロシアからの輸入に頼っています。50%以上の依存度だったのは、ジョージア、ルワンダ、UAE、マルタ、リビア、ブルネイ、アルメニア、イスラエル、セネガル、オマーン、ギニア、レバノンなどです。

とうもろこし

世界地図:とうもろこしの輸入
※出典:Our World in Data

北アフリカと北欧に色の濃い国があります。50%以上の依存度だったのは、ラトビア、リトアニア、アルメニア、オランダ、イスラエル、リビア、チュニジア、フィンランド、デンマークなどです。

大麦

世界地図:大麦の輸入
※出典:Our World in Data

北アフリカと中東に色の濃い国があります。50%以上の依存度だったのは、イスラエル、ヨルダン、レバノン、リビアの4ヶ国です。

ひまわり油

世界地図:ひまわりの輸入
※出典:Our World in Data

北アフリカ、中東、アジアの国々が真っ赤です。世界シェアの63.8%がウクライナ、ロシア産だったこともあって、多くの国が両国からの輸入に頼っています。

依存度の高い国と低い国で差が激しい

イメージ:国連

輸出量の多い4品目を見てきましたが、この4品に共通しているのが、北アフリカ地域です。リビアやエジプトなどは、ロシアとウクライナからの輸入に大きく依存しており、輸入量の減少は、すぐに食料危機に発展しかねません。

現在、アメリカ、EU、イギリス、日本などの先進国は、ロシアに対して厳しい経済制裁を行っていますが、それはロシア産穀物への依存度が低いから行えることです。

例えば日本の場合、ロシア・ウクライナから輸入している食料の割合は、小麦が1.66%、とうもろこしが0.58%、大麦が7.2%、ひまわり油が20.57%です。これらが日本に入って来なくなってもそれほど困ることはないでしょう。

国連でロシアに関する決議が行われた際に、賛成する国、反対する国、棄権する国に分かれましたが、ロシア経済への依存度の高い国がロシアを否定することは考えにくいことです。

普段、私達が目にするニュースは、アメリカやイギリス、EUなどの先進国のメディアが発している情報です。経済制裁をしているとの報道があれば、世界中の国が行っているように感じてしまいますが、そうではない国がどのような行動をとり、その国でどのような報道がされているのかが伝えられることはほとんどありません。

ウクライナ、ロシア産穀物への依存度は、日本ではあまり報道されていない経済圏を表しているのかもしれませんね。

とうもろこしチャート


 

小麦チャート


このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。
また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。

参考文献

Our World in Data

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