
本日21時30分(日本時間)、米国の6月雇用統計が発表されます。
今回の雇用統計は、NYゴールドやJPX金先物の短期的な方向性を左右するだけでなく、FRB(米連邦準備制度理事会)の今後の金融政策を見極めるうえで、市場が最も注目する経済指標の一つです。
先行して発表された6月のADP全米雇用報告では、民間雇用者数が市場予想を下回りました。また、ISM(米サプライ管理協会)が発表した6月の製造業購買担当者景況指数(PMI)も市場予想を下回り、米国経済の減速を示唆する内容となりました。
これを受けて米長期金利は低下し、外国為替市場ではドルが主要通貨に対して軟化。利子を生まない資産であるドル建てゴールドには買い戻しが入り、NYゴールドは反発する展開となっています。
もっとも、市場全体では依然として「高金利政策の長期化(Higher for Longer)」が基本シナリオとなっています。インフレ圧力は完全には収束しておらず、FRBも慎重な姿勢を維持しているためです。
そのため、今回の雇用統計は、高金利政策が継続するのか、それとも金融政策の方向性に変化の兆しが見え始めるのかを探る重要な材料となりそうです。

雇用統計が市場予想を上回った場合
市場予想を上回る強い内容となれば、米国の雇用環境は依然として底堅く、賃金上昇圧力も根強いとの見方が強まるでしょう。
その結果、FRBは高金利政策を維持しやすくなり、米長期金利は再び上昇、ドルも買われやすい展開が想定されます。
NYゴールド
NYゴールドにとって、金利上昇とドル高はともに逆風となります。
特に今回は、ADP雇用統計やISM製造業PMIの弱い結果を受け、一時的にゴールドが買い戻されている局面です。そのため、市場予想を大きく上回る強い雇用統計となれば、高金利政策が長期化するとの見方が改めて強まり、買いポジションの解消や損切り注文を巻き込みながら、下落基調を強める可能性があります。
JPX金先物
JPX金先物は、NYゴールドの下落がマイナス要因となる一方、ドル高・円安は円建て金価格を押し上げる要因となります。
このため、NYゴールドほど大きく下落しない可能性はありますが、NYゴールドの下落幅が大きければ、その影響を受けて軟調な展開となる可能性が高いでしょう。
雇用統計が市場予想を下回った場合
一方、雇用統計が市場予想を下回る結果となれば、ADP雇用統計やISM製造業PMIに続き、米国景気の減速が改めて意識される展開となります。
その場合、高金利政策が長期化するとの見方はやや後退し、米長期金利は低下、ドルも軟化しやすくなるでしょう。
NYゴールド
金利低下とドル安は、NYゴールドにとって大きな追い風となります。
市場予想を大きく下回る内容となれば、高金利政策の修正期待が高まり、短期筋の買い戻しや新規の買いが加わることで、直近高値を試すような力強い上昇につながる可能性があります。
JPX金先物
JPX金先物は、NYゴールドの上昇がプラス要因となる一方で、ドル安・円高は円建て価格を押し下げる要因となります。
ただし、雇用統計のような大きな経済イベントでは、NYゴールドの値動きがドル円の影響を上回るケースも少なくありません。そのため、JPX金先物もNYゴールドの上昇に連動し、堅調に推移する可能性が高いと考えられます。

今夜の注目ポイント
今回の雇用統計では、非農業部門雇用者数だけでなく、「失業率」と「平均時給」にも注目する必要があります。
平均時給は賃金インフレの動向を示す重要な指標であり、FRBが金融政策を判断するうえで重視している項目です。
仮に雇用者数が市場予想並みであっても、平均時給が市場予想を上回れば、インフレ圧力の根強さが意識され、高金利政策が長期化するとの見方からゴールドには売り圧力が強まる可能性があります。
一方で、雇用者数、失業率、平均時給のすべてが市場予想を下回る内容となれば、高金利政策の修正期待が高まり、ゴールドには一段の追い風となるでしょう。
また、発表直後は雇用統計の数字だけに注目が集まりがちですが、その後の米10年債利回りやドル円相場の反応も非常に重要です。
米10年債利回りが低下し、ドル円がドル安・円高へ向かうのか、それとも金利上昇・ドル高へ転じるのか。
これらの市場の反応をあわせて確認することで、NYゴールド、そしてJPX金先物の短期的な方向性がより明確になってくるでしょう。
アナリストコメント
今回の雇用統計は、単に「予想を上回ったか、下回ったか」だけで判断するのではなく、市場が現在どこまで織り込んでいるのかを見極めることが重要です。
ADP雇用統計やISM製造業PMIが弱い結果となったことで、市場は景気減速をある程度意識し始めています。そのため、予想を上回る強い結果となれば市場へのインパクトは大きくなりやすく、反対に弱い結果となれば、高金利政策の修正期待が一段と高まり、ゴールド相場には強い追い風となる可能性があります。
今夜は、雇用統計の結果だけでなく、その後の金利・ドル・ゴールドの値動きまで含めて注目したいところです。
【基礎記事】
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