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10年レベルで見た、米労働市場の変化

2025.03.10


皆さま、おはようございます。CFP(1級ファイナンシャル・プランニング技能士)のワイワイこと岩井です。
2月の雇用統計が発表されました。

非農業部門雇用者数は15.1万人の増加、失業率は先月より0.1%ポイント高い4.1%でした。事前予想は16.0万人の増加、失業率4.0%でしたので、大きなサプライズのない結果だったと言えます。
一般的に雇用統計の発表では、非農業部門雇用者数と失業率に注目が集まりますが、それ以外にも細かなデータが発表されていることはご存じでしょうか。
以下は、アメリカの産業別雇用者数のデータです。

米国・産業別雇用者数

2025年2月 差分(10年) 変動率(10年)
非農業全体 159,218 18,391 113.1%
民間全体 135,603 16,754 114.1%
鉱業と伐採 625 -250 71.4%
建設 8,310 1,949 130.6%
製造 12,765 490 104.0%
卸売業 6,183.30 403 107.0%
小売業 15,560.70 82 100.5%
輸送と保管 6,759.70 1,974 141.2%
資源 595.5 41 107.4%
情報 2,952 211 107.7%
金融 9,241 1,171 114.5%
プロフェッショナルビジネスサービス 22,573 3,010 115.4%
教育とヘルス 27,070 5,283 124.2%
娯楽 16,949 1,977 113.2%
その他サービス 6,019 413 107.4%
政府系 23,615 1,637 107.4%
連邦政府 3,007 260 109.5%
州政府 5,532 461 109.1%
地方政府 15,076 916 106.5%

※出典:米労働省

通常、前月比や前年同月比のデータを使ってどのように変化を確認しますが、より長い10年前のデータと比べると、産業従事者の構造変化を知ることができます。

10年前(2015年2月)と比べて、非農業部門全体では1,839.1万人増加し、増加率は13.1%でした。産業別に見た10年間の変化が13.1%を超えていれば、その産業は雇用の伸びに大きく貢献していることを意味し、逆に下回っている場合は、成長速度が緩やかだったと言えます。

マーケティングの理論に「プロダクト・ライフサイクル」というものがあります。これは、製品の市場での変遷を導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つに分類し、それぞれに適した営業(経営)戦略を実施するという考え方です。

これと同じように、雇用者数の増減の変化を分類すると、雇用者数が伸びている産業を「成長期」、あまり変動のない産業を「成熟期」、減少している産業を「衰退期」に分けることができます。

1. 成長期に分類できる産業

輸送と保管 +41.2%
建設 +30.6%
教育とヘルス +24.2%

2. 成熟期に分類できる産業

小売業 +0.5%
製造 +4.0%

3. 衰退期に分類できる産業

鉱業と伐採 -28.6%

アメリカのGDPの約7割は個人消費が占めています。そのため、小売業や製造業の雇用者数は増え続けると思われがちですが、結果は平均を下回るものでした。

今後、トランプ関税の影響が強まれば、アメリカ国内での製造が増える可能性がある一方で、物価上昇により、成熟期だった小売業が衰退期に移行してしまう可能性も考えられます。

小売業と製造業の雇用者数に今後どのような変化が起こるのか。次回以降も注視していきましょう。
このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。

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