皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。
英国のエリザベス女王が崩御されました。96歳でした。1952年に女王に即位されてから70年間の在位でしたので、今生きている私達のほとんどは、エリザベス女王以外の英国君主を知りません。戦後の歴史は、エリザベス女王と共に歩んだ70年間でした。心よりご冥福をお祈りします。
さて、昨日決定したECB政策金利は、前回よりも0.75%ポイント高い1.25%になりました。
ECB政策金利
作成:フジトミ証券
ECBは政策金利を2016年3月以降0%で維持していましたが、物価上昇を抑えるため、7月に0.5%の利上げが実施されました。この利上げは実に11年ぶりの出来事でした。
その後もロシア産天然ガス問題の影響を直接受けている欧州の物価上昇が収まることはなく、ECBは今回の0.75%利上げに踏み切った訳です。
ECBの利上げは欧州での出来事なので、日本人の私達からすると実感がわきづらいのですが、11年間続いた低金利政策から一転、金利の大幅引き上げに動いたことは、とても大きな事です。
日本の場合、アベノミクス以来、政策金利は0%から変わっていません。物価上昇を抑えるため世界各国が利上げを実施する中、ゼロ金利を維持する日本の金融政策は世界の中でとても稀有な存在になっています。
今後の消費者物価指数(CPI)次第になってしまいますが、11年間利上げが実施されなかった欧州で大幅な利上げが実施されたことを鑑みれば、いつ日本の金融政策が方向転換してもおかしくないはずです。
次のグラフは日本銀行調査統計部が発表した資金循環の日米欧比較から抜粋したものです。
民間非金融法人企業の金融負債構成
出典:資金循環の日米欧比較(日本銀行調査統計部)
アメリカと日本や欧州では金融負債構成のバランスが違うことにお気づきでしょうか。
日本や欧州の企業は必要な負債の4分の1を銀行から借り入れて事業運営していますが、アメリカの企業は、70%の資金を株式発行によって調達しており、借入による負債は5.7%しかありません。
アメリカでは、政策金利が2.25-2.5%まで引き上げられた分、銀行貸し出し金利も上昇する訳ですが、企業の負債に借入が占める割合は5.7%程度なので金利支払いによる負担は、それほどではないわけです。FOMCが大幅利上げという強気な行動が取れるのは、利上げしてもアメリカ企業に与えるダメージが少ないからだとも考えられます。
さてECBがおこなった利上げが欧州企業の業績にどう影響してくるのか。今後の動向が大いに注目されます。
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