皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。
ロイターによるとアメリカのバイデン大統領は、大統領選挙に掲げていた学生ローンを免除するという公約を順守すると述べたとの報道がありました。
実現すれば、1人あたり最大1万ドル~2万ドルの返済免除がおこなわれることになり、学生ローンを利用する4300万人に恩恵をもたらすことになります。
アメリカでは、11月に中間選挙が予定されていますので、選挙前のバラマキととらえられても仕方がありませんが、4300万人の若い世代に恩恵があることは、経済対策としても大きな効果が期待できそうです。
さて、日本の学生向けの教育資金支援がどうなっているのかご存じですか。
日本では、教育資金が不足する場合、教育ローンを組むか奨学金の融資を受けるのが一般的です。
代表的なのが日本政策金融公庫をおこなう教育ローンと日本学生支援機構の奨学金制度です。
■教育ローン
・窓口 ・・・日本政策金融公庫など
・年収要件・・・あり
・融資金額・・・上限350万円(留学の場合は450万円)
・返済期間・・・原則15年以内
・金利 ・・・年利1.80%(2022年5月2日現在)
■奨学金
奨学金には、第一種奨学金と第二種奨学金があります。
・窓口 ・・・日本学生支援機構など
・利子 ・・・第一種奨学金 無利子
第二種奨学金 有利子
・選考 ・・・第一種奨学金 特に優れた学生で経済的理由が必要
第二種奨学金 第一種より緩やか
・返還 ・・・最長20年間
第一種奨学金の返済方法は、返済者の課税対象所得に9%を掛けた金額が年間の返済額でそれを12ヶ月で割った金額が毎月の返済金額です。例えば、課税対象所得が240万円だった場合、21.6万円が年間の返済額なので毎月1.8万円返済することになります。
教育ローン、奨学金のいずれを使ったとしても返済するのに長い年月を要します。教育ローンの返済期間は原則15年以内、奨学金の返還期間は最長20年なので、23歳から返済を開始したとすると、返し終わるのは、38歳とか43歳になった時です。ものすごく長いですね。
ちなみに高等教育機関で学ぶ学生で奨学金を利用する人の割合は次のとおりです。
奨学金の貸与割合
貸与割合 | ||
2004年(平成16年)度 | 2019年(令和元年)度 | |
大学・短大 | 4.3人に1人(23.3%) | 2.7人に1人(36.5%) |
大学院 | 2.5人に1人(39.6%) | 3.6人に1人(27.7%) |
高専 | 8.5人に1人(11.8%) | 18.7人に1人(5.3%) |
専修学校専門課程 | 6.1人に1人(16.5%) | 2.4人に1人(42.5%) |
合計 | 4.4人に1人(22.8%) | 2.7人に1人(36.5%) |
出典:(独)日本学生支援機構
令和元年度では、全体の36.5%、2.7人に1人が奨学金を利用して学んでいます。平成16年度時点での奨学金利用率は22.8%、4.4人に1人の利用でしたので、この15年間で奨学金を利用する割合が高まったことをデータが示しています。
皆さんはこのデータをどう感じますか?
私は、とても良くない傾向にあると思えてしまいます。
子供が高等教育で学びたいと言った時に、その資金を出すことができない家庭が平成16年度よりも増加しており、今では2.7人に1人が奨学金を利用しないと高等教育を受けられません。
ご存じのように過去20年間日本人の収入は増えていませんが、そのしわ寄せが学生の学ぶ機会にもあらわれています。伸び悩む収入によって子供が高等教育を受ける機会が奪われ、奨学金の返済が20代、30代の可処分所得を減少させていることは、日本経済の成長速度を鈍化させる要因になっていると考えられます。
日本もアメリカのような奨学金救済策を検討した方が良いのかもしれませんね。
借入をすることなく学びたい人が学べる。そんな世の中になって欲しいですね。
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