皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。
先週末発表された米雇用統計非農業部門雇用者数は、37.2万人の増加と予想の26.4万人を大きく上回る結果となりました。
米非農業部門雇用者数
出典:米労働省
暫定値だった4月と5月の非農業部門雇用者数が修正されたことにより、3月以降30万人台後半の雇用増で落ち着いているように見えます。
今年に入ってからFOMCは3回の利上げを実施しましたが、そのことによる労働市場の悪化は今のところ確認できていません。
前回もお伝えしたとおり政策金利の上昇は、借入れによって事業運営している企業にとって負担増になるはずですが、雇用者数が減少するほどの悪影響はでていません。
利上げは企業経営者にとって負担になっていないのでしょうか。
次のグラフは、「全産業・全職種の民間人労働者の総報酬、3ヶ月間の変化率」を表したものです。
全産業・全職種の民間人労働者の総報酬、3ヶ月間の変化率
出典:米労働省
2022年Q1、民間労働者に支払われる総報酬の変動は1.4%のプラスでした。
過去10年間で、もっとも高い上昇率になっていることは特徴のひとつですが、もうひとつ興味深いのが10年間ずっとプラスで推移していることです。
最近、アメリカ人の給料は増えているのに日本人の給料は増えていないことが話題になっていますが、データで見るとアメリカ人の給料は増え続けていたことが良くわかります。
それだけアメリカ人は優秀なのでしょうか。
次のグラフは、「労働生産性(1時間当たり生産高)」を表したものです。労働生産量や付加価値を総労働時間で割ったものが。労働生産性(1時間当たり生産高)です。
労働生産性(1時間当たり生産高)
出典:米労働省
総報酬とは異なり労働生産性は常にプラスという訳ではないようです。2022年Q1の労働生産性は「-7.3%」と直近10年間で最も悪い結果でした。労働生産性は、上がったり下がったりを繰り返しているのでたまたま悪い結果になったと考えることもできますが、コロナ以降、上げ下げのブレ幅が大きくなってきていいます。
安定を好む経営者から見るとあまり良い環境ではないように思えてしまいます。
今のところ、アメリカ人への報酬は増加し、雇用者数も安定して増加しているため、GDPの70%程を占める個人消費は好調ですが、労働生産性の低下が続いてしまうと労働者への分配である報酬を引き下げざるを得なくなってしまいます。
物価高が続いていてもそれに合わせて給料を増やすことができれば経済をうまく循環させることができますが、それができなくなると負のスパイラルが発生してしまいます。
日本もアメリカのような好循環が実現できる社会体制に変えていく必要がありそうですね。
今日は、アメリカ人の給料と経済の好循環について考えてみました。
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・米労働省