皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。
週末テレビを見ていて気になったのですが、ニュース番組で「4月から物の値段が上昇する」とか「物価の上昇」とか「価格の据え置き」など、物価に関する報道がとても増えています。
3月18日「コラム:消費者物価指数が伸びないのは日本だけではない!?」で確認した日本の消費者物価指数は前年同月比で0.9ポイントの上昇と、諸外国のような大幅上昇にはなっていませんでした。
物価変動を財(形ある商品)とサービスに分けると、財はプラス4.5%、サービスがマイナス2.6%で、財の上昇分とサービスの下落分が相殺されプラス0.9%に落ち着いたことを確認しました。
テレビのニュースが盛んに言っている「物価の上昇」というのは、サービスを含んだ消費者物価指数のことではなく財価格の上昇を指しています。
さて、2022年3月の食料安全保障月報が農林水産省より発表されました。
食料安全保障月報というのは主要穀物を中心に、世界の需給や価格動向を把握し、情報提供することを目的に作成されたものです。普段であればそれほど注目されるレポートではありませんが、「欧州のパンかご」と称されているウクライナへのロシア侵攻が世界の食料需給にどのくらいの影響を及ぼすと見込まれているのかを知ることができる、とても重要なレポートになりました。
最新のレポートによると、ロシアによるウクライナ侵攻によって
①小麦など冬作物について20%の農地で収穫ができず、収穫された農作物についても資料不足や収穫遅れから単収が10%低下する。
②とうもろこし、ひまわりなどの春作物は30%の農地で作付困難になり、単収が20%低下する。
と報告されています。
ウクライナとロシアの穀物の輸出シェアは次のとおりです。
・とうもろこし・・・2割
・ひまわり油 ・・・8割
両国から輸出される穀物が減少することは、世界の食料供給に大きな影響を及ぼしています。
ちなみにウクライナの地域別小麦生産量は次の通りです。
ウクライナ:小麦生産量
出典:USDA(https://ipad.fas.usda.gov/rssiws/al/crop_production_maps/Ukraine/Ukraine_wheat.jpg)
地図をみると小麦生産量が多い地域は南部に集中していますので、小麦生産地の多くがロシア軍の侵攻を受けています。現地の詳しい状況は分かりませんが、小麦畑が戦車などの軍用車両によって踏み荒らされていれば大きな影響を及ぼしそうですよね。
ウクライナの場合、冬小麦が全体の9割を占めており、前年8月後半から9月に掛けて作付をおこない7月後半から8月前半に収穫しています。
昨年の小麦は収穫済みなので、需給がひっ迫することはありませんが、夏場になると今年の小麦収穫が始まるので、その時にきちんと収穫ができるのかどうか。
今年の夏以降、食料の需給がどうなるか注目したいですね。
小麦ととうもろこし価格の推移は次の通りです。
小麦
とうもろこし
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