皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。
先週末に発表されたアメリカ非農業部門雇用者数は23.5万人増となり、予想の73.3万人増を大きく下回る結果になりました。直近1年間の変動をグラフにしたものが次のデータです。
アメリカ非農業部門雇用者数
出典:米労働省
グラフが示すとおり、5月以降の雇用者数は毎月50万以上の増加が続いていましたが、今回発表された8月の雇用者数の増加は23.5万人でした。いったい何が原因だったのでしょうか。
今回は、産業別の増減について調べてみました。
雇用統計-産業別雇用者数-2021年8月
8月 | 前月比 | 2020年2月比 | |
非農業全体 | 147,190 | 235 | -5,333 |
民間全体 | 125,145 | 243 | -4,543 |
鉱業と伐採 | 644 | 6 | -46 |
建設 | 7,416 | -3 | -232 |
製造 | 12,421 | 37 | -378 |
卸売業 | 5,722 | 1 | -173 |
小売業 | 15,325 | -29 | -285 |
運輸・倉庫業 | 5,845 | 53 | 22 |
資源 | 537 | -1 | -10 |
情報 | 2,764 | 17 | -150 |
金融 | 8,846 | 16 | -29 |
プロフェッショナルビジネスサービス | 21,001 | 74 | -468 |
教育とヘルスケア | 23,660 | 35 | -905 |
接客業 | 15,216 | 0 | -1,699 |
その他サービス | 5,748 | 37 | -189 |
政府系 | 22,045 | -8 | -790 |
連邦政府 | 2,888 | 3 | 25 |
州政府 | 5,060 | -25 | -243 |
地方政府 | 14,097 | 14 | -572 |
出典:米労働省
変化の度合いが解りやすいように前月比とコロナ前のピークだった2020年2月と比べてどうなっているのかを調べてみました。
2020年のピークと比べると8月時点の非農業部門雇用者数は、533.3万人少なくなっています。産業別にみると、特に減少したのが接客業で雇用者数は169.9万人も減少しました。次いで減っているのが教育とヘルスケア産業です。こちらも90.5万人もの雇用が失われたままです。2020年2月比では全体的に赤字表示が続くのでほとんどの産業で雇用者数が減ったままだということが解ります。
こんなコロナ禍の状況でも雇用者数が増加している民間産業がありました。それが、運輸・倉庫業です。アメリカでもネット通販は好調で、その影響からか運輸・倉庫業での雇用者数はコロナ前と比べても2.2万人増加しました。
以上のように、アメリカ国内の運輸・倉庫業以外の産業は、コロナ前の水準までは回復していないことが解りました。
さて、今回の雇用統計が事前予想よりも悪かったことで、FRBはテーパリング(金融緩和政策を段階的に縮小させていくこと)の実施時期を先送りするのではないかという予測が強まりました。
雇用統計発表前後のマーケットの動きをご覧ください。
米ドル円(くりっく365)
ユーロドル(くりっく365)
NYダウ(くりっく株365)
日経225(くりっく株365)
いずれの市場でも雇用統計が発表された直後(日本時間21時30分)に大きく変動しましたが、数分後には発表前の水準近くまで戻す展開になりました。
今回の雇用統計の結果は今後のテーパリングにどう影響してくるのでしょうね。次回のFOMCは9月21日から22日に実施される予定です。
このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもございません。ご了承ください。
・米労働省