皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。
今回も引き続き期待リターンと想定リスクのお話です。
前回、過去の価格変動から期待リターンと想定(推計)リスクを計算できることを確認しました。
前回見た日経平均株価では、次のような期待リターンと想定(推計)リスクでした。
※算出方法については、前回の記事「期待リターンと想定リスクの計算」をご覧ください。
日経平均株価の期待リターンと想定(推計)リスク
期待リターン | 推計リスク | 上ブレ想定 | 下ブレ想定 | |
1年 | 45.4% | 16.2% | 77.8% | 13.0% |
3年 | 12.0% | 18.4% | 48.9% | -24.9% |
5年 | 12.5% | 16.6% | 45.7% | -20.7% |
10年 | 12.5% | 17.3% | 47.2% | -22.2% |
20年 | 5.9% | 18.9% | 43.7% | -32.0% |
30年 | 2.4% | 20.0% | 42.4% | -37.6% |
40年 | 5.5% | 19.8% | 45.1% | -34.2% |
それ以外の株価指数ではどのような結果になるのか。くりっく株365でも取り扱いがある4つの株価指数でも計算してみたいと思います。
日経平均株価については先ほど見たとおりです。
NYダウの期待リターンと想定(推計)リスク
期待リターン | 推計リスク | 上ブレ想定 | 下ブレ想定 | |
1年 | 43.0% | 17.0% | 76.9% | 9.0% |
3年 | 12.2% | 18.5% | 49.2% | -24.7% |
5年 | 13.7% | 15.3% | 44.4% | -16.9% |
10年 | 10.8% | 13.7% | 38.2% | -16.5% |
20年 | 7.1% | 14.7% | 36.5% | -22.2% |
30年 | 9.2% | 14.4% | 38.0% | -19.7% |
40年 | 9.9% | 15.0% | 39.8% | -20.0% |
DAX®の期待リターンと想定(推計)リスク
期待リターン | 推計リスク | 上ブレ想定 | 下ブレ想定 | |
1年 | 44.2% | 21.2% | 86.6% | 1.7% |
3年 | 9.4% | 20.5% | 50.3% | -31.6% |
5年 | 9.8% | 17.5% | 44.9% | -25.3% |
10年 | 9.3% | 18.1% | 45.5% | -27.0% |
FTSE100の期待リターンと想定(推計)リスク
期待リターン | 推計リスク | 上ブレ想定 | 下ブレ想定 | |
1年 | 18.1% | 15.0% | 48.1% | -11.9% |
3年 | -0.4% | 15.5% | 30.6% | -31.3% |
5年 | 2.6% | 13.6% | 29.8% | -24.6% |
10年 | 2.1% | 12.6% | 27.3% | -23.1% |
ご覧のようにFTSE100の過去3年間で算出したデータを除いて期待リターンは、プラスの結果になりました。特に、ここ1年で算出した期待リターンの結果はとても良く、日経平均株価、NYダウ、DAX®の3指数で40%以上のプラスになっています。
これは、2020年3月に起きたコロナショックからのリバウンドが生み出した好成績だと考えられます。
一方、ブレ幅を表す想定(推計)リスクは、いずれの指数も15~20%あたりを中心とした結果になりました。
それぞれの結果を比較すると、期待リターンが最も低いFTSE100と平均して高い期待リターンだったNYダウの推計リスクはあまり変わらない結果となっており、この2つではNYダウに投資した方が良い成績を残せる可能性が高くなっています。
また、DAX®とNYダウを比較した際もNYダウの方が低い想定(推計)リスクとなっておりNYダウに投資した方が合理的です。
なお、日経平均株価は、NY株式市場の影響を受けやすいこともあり、過去10年間の成績はNYダウ同様高い期待リターンになっていますが、推計リスクはNYダウよりも少し高めの結果が多くなっています。特に30年間で算出したデータでは、日本のバブル経済崩壊の影響もあり期待リターンは低く、想定(推計)リスクも高くなってしまいました。
アベノミクス以降上昇している日経平均株価ですが、現時点での価格はバブル経済時につけた高値を更新していないので、長期的にはレンジの中での推移していると言えるでしょう。
まとめ
今回くりっく株365でも取引できる4つの株価指数について期待リターンと想定(推計)リスクを算出しましたが、4つの中で最もリスクとリターンのバランスが良い株価指数はNYダウとの結果になりました。
現物取引では、どんなに想定(推計)リスクが大きくても最終的には期待リターンに集約されるのでリスクに関する認識は低くてもそれほど問題ありませんが、CFDのような証拠金取引では、下ブレした際にロスカットや預かり金以上の損失が発生してしまう可能性があるのできちんと認識しておかないと下ブレに耐えることができなくなってしまいます。期待リターンだけではなく、想定(推計)リスクの把握が重要になってきます。
「あそこでロスカットされなければ上昇したのに・・・」などといった出来事が起きないようリスクとリターンを把握しておけば想定外の値動きはなくなるのではないでしょうか。
このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもございません。ご了承ください。
今回算出した期待リターンと想定(推計)リスクは、2021年3月末時点のデータを元におこないましたが、データは日々変動しており、計測時点によって結果が変わってきます。
定期的な算出をおこなうことをお勧めします。