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ヘッジとして先物取引を活用する

2019.12.05

皆さん、おはようございます。ファイナンシャルプランナーのワイワイです。

今日は先物市場をヘッジとして活用できないかを考えてみたいと思います。

日本の工業は、原料を輸入して製品を出荷する加工貿易が中心ですので原料価格の変動は国内産業にも大きな影響を及ぼすことが考えられます。

下のグラフは2015年時点での産業別にみた工業出荷額です。

産業別に見た工業出荷額

最も金額が大きいのが「機械工業」でその中には自動車などが含まれます。自動車などの輸送用機械は全体の20.5%を占めていますので、自動車産業の行方は日本の景気にも大きな影響を及ぼしてしまいます。

13.4%のウエイトを占める金属工業の中には鉄鋼業が含まれます。出荷額42兆円のうち18兆円は鉄鋼業によるものです。

鉄は高炉で原材料である鉄鉱石を溶かして作られていますが、原料である鉄鉱石はオーストラリアやブラジルから輸入しています。そのため、日本にある製鉄所のほとんどは、太平洋ベルトの臨海部にあります。

残念ながら鉄は日本の先物市場に上場していないので、そのままヘッジすることはできませんが、鉄価格のと同じような価格変動をしている市場があればそれを活用することでヘッジすることができます。

次のグラフは原油価格と鉄スクラップの価格遷移をグラフにしたものです。変化が分かりやすいように2008年1月の数値を100としています。

原油価格と鉄スクラップ価格

※産業新聞公表データを元に作成

原油価格と鉄スクラップの価格は同じような値動きをしているように見えませんか?

もしも鉄スクラップの価格決定に原油価格が影響しているのであれば、鉄スクラップのヘッジに原油先物取引を活用できそうです。

日本の工場は加工産業ですので、加工品を作る原料は安く仕入れて加工品を高く売る必要がありますが、鉄の価格がどのような要因で価格変動しているのかを知らないと対応することができません。鉄価格の決定要因に原油価格が影響しているのであれば、OPECの動向やシェールオイルの動向などをチェックすることで値動きを予測することができそうです。

原油先物取引をヘッジに使うこともできます。
原油は先物市場で取引されている銘柄なのでヘッジとして活用することも一つの方法です。鉄スクラップの価格が現在安く、今後上昇する可能性があるのであれば、原油先物取引で買いポジションを作れば値上がり分をカバーすることができます。

ただし、価格が下がってしまった時には、マイナスが生じてしまいますのでタイミングを計ったうえでおこなう必要があります。

今回は鉄スクラップの価格と原油価格を検証してみましたが相関性が高い組み合わせは他にもあると思います。価格変動リスクが大きい商売を行っている方は、抱えているリスクをヘッジすることを検討してみてはいかがでしょうか。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもございません。ご了承ください。


参考文献:
・日本のすがた2018-矢野恒太記念会
・産業新聞
https://www.japanmetal.com/memberwel/marketprice/soba_h2

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