原油が取れる場所はある程度決まっています。どこでも取れるという訳ではありません。
原油が取れる場所を大きく分けるとOPEC(石油輸出国機構)と非OPECに分けることができます。2018年現在、世界で供給されている原油の約40%がOPECによって賄われており、残りの約60%がOPECに加盟していないロシアやアメリカなどの国々で生産されています。
2017年現在の産油国はご覧のとおりです
※出典:今日の石油産業2018
2017年現在、原油の生産量がもっとも多い国はロシアの1100万バレル/日、2番目がサウジアラビアで996万バレル/日、3番目がアメリカで923万バレル/日となっています。産油国で取れる原油がどのように流通するのかは価格に影響を及ぼしそうです。
これまでの原油価格の変動はご覧のようになっています。
上グラフは東京で取引されているドバイ原油価格の推移を表しています。日本で取引されていますので、円で取引されています。
ご覧のように2000年以降、価格が大きく下落した時期が2回ありました。1回目が2008年の後半に掛けてです。この年リーマン・ブラザーズが倒産し、世界的な景気減速が、エネルギー資源である原油の需要を減少させました。
その後は、景気経済の回復とともに世界の原油消費量も増加したため再び価格は上昇しはじめています。
2回目に大きく下げたのが2014年後半に掛けてです。
この2014年、世界の原油を取り巻く環境に変化が生じました。それがシェールオイルの実用化です。
2014年以降、北米大陸中心にシェールオイルの生産が本格化しました。別名シェール革命とも呼ばれています。
今まで開発が困難とされていたシェール(頁岩(けつがん)層に含まれる非在来型の石油や天然ガスの採掘が可能になりました。
特にアメリカ、カナダで生産されるシェールオイルの量は凄まじく、2017年現在、アメリカは世界3番目、カナダは世界5番目の生産量を誇っています。
世界の原油供給はOEPCと非OPECで構成されています。
一方、原油の消費は全世界中で消費されています。石油製品として真っ先に思い浮かぶのがガソリンや灯油といった燃料としての消費ですが、世界中でおこなわれている経済活動において、エネルギー資源が利用される関係から景気動向と原油価格には密接な関係があります。
[NYダウ]
[WTI原油]
ご覧のようにNYダウの値動きとNYで取引されているWTI原油の値動きは相関性があります。景気動向によって原油の需要が拡大縮小し、その結果、価格が変動していることが上のグラフからも読み取ることができます。
世界中で取引されている原油ですが、ベンチマークとされている指標が3つあります。
一番有名なのがWTI原油です。WTI原油は、アメリカのニューヨークにあるNYMEXという取引所で取引されています。WTI原油はウエスト・テキサス・インターメディエイト(West Texas Intermediate)の略でアメリカのテキサス州とニューメキシコ州で産出される原油です。世界で産出される原油の1~2%程度のボリュームですが、NYMEXで取引されている原油でもあり、世界的な指標になっています。
欧州で取引されているのがブレント原油です。ブレント原油は北海油田・英国領海北部のブレント油田から産出される原油でイギリスのロンドンにあるICE フューチャーズ・ヨーロッパで取引されています。欧州の人達は、ブレント原油に注目しています。
3つ目がドバイ・オマーン原油です。
アジアで流通している原油の大部分は中東産原油です。その中東産原油価格の基準となっているのが、プラッツ社が発表するドバイ原油、オマーン原油の価格です。東京商品取引所で取引されている中東産原油の先物価格はドバイ産、オマーン産原油が指標になっています。
・OPECや非OPECの生産動向
・原油消費国の景気動向
・米国の在庫状況
・シェールオイルの生産状況
・株式市場の動向