皆さん、おはようございます。ファイナンシャルプランナーのワイワイです。
米国の金利上昇がアルゼンチンやトルコなどの新興国通貨のレートに大きな影響を与えている話を連日していますが、どうしてそうなるのか。ちょっと考えてみたいと思います。
米国の債券利回りが上昇するとリスクが高い国に投資するよりも米国の債券に投資した方が低リスクでリターンが狙えるため、多くの投資資金が新興国から米国に戻ってくる現象が起きてしまいます。
今回のアルゼンチンペソやトルコリラが大量に売られた背景には、アメリカ経済が大きく関係していると言えます。
ということで、今日はアメリカの金利、利回りについてのお話です。
債券について
アメリカの金利動向を知る上でよく注目されるのが「米国10年債利回り」です。日本でいう「日本国債10年」のようなものです。
債券は、デフォルトでも起きないかぎり満期日まで持っていると額面金額が返金される安全性が高い金融商品です。
例えば、10年満期の利率2%の額面100万円の債券を100円で購入し10年後に満期を迎えた場合、「(100万円×2%)×10年=20万円」が債券購入した人が得られる利益になりますが、途中で転売することも可能で、その際は、その時のレートによって元本割れする可能性もある商品です。
日本でもアメリカでも債券は債券なので、同じように売買されています。
その代表格が米国債10年です。
米国10年債
その名のとおりアメリカ政府が発行する国債で償還期間は10年です。
この米国10年債の利回りが何パーセントなのか。これがとても重要なポイントになります。
米国債はドル建てで購入し、満期時受けられる償還金はドルで渡されます。
このブログをお読みの方は、日本で生活する方がほとんどだと思いますが、もし日本で米国債を購入するためには円をドルに換えなければなりません。
日本円を米ドルに換えて購入し、米ドルを日本円に戻さなければならないのでそこには為替差損益が発生します。
ところが、アメリカで生活する人、もしくは米ドルが機軸通貨な国で生活する人は、通貨を両替する必要がないので満期まで持っていた場合、利回りが保障されることになります。
2018年5月23日現在、米国10年債の利回りは3.003%です。
2015年以降の利回りをグラフにしたものが次のものです。
米国10年債利回りと政策金利
青い線が米国10年債利回りでオレンジの線がFRB政策金利です。
今年に入ってから10年債利回りは上昇しはじめ、ついに3%の大台まで上昇してきました。もしもあなたがアメリカ人でほぼゼロリスクで3%の利回りがあるのだとすれば購入したいと思いませんか?
新興国市場から米国債に資金が流れてくる背景にはこのような事情があります。
上のグラフでもうひとつ注目していただきたいのがFRB政策金利です。2015年から段階的に上昇し現在は1.50-1.75%が政策金利です。
2本の線の位置関係は10年債利回りの方が政策金利よりも高く政策金利が上昇すると債券利回りも上昇しているようにみえます。
この2本の線の差分をグラフにするとご覧のようになります。
米国10年債利回りと政策金利+差分
2015年頃、その差分は2%ほどありましたが、現在は1%前半程度とその差は狭くなってきています。仮に2015年頃と同じくらいの差分が適正なのだとすれば、米国10年債利回りは今よりも0.75から1.00%程度高い水準まで上昇しても違和感がなさそうです。
次回のFOMCは現地時間6月12日-13日ですが、債券価格が高止まりするとそれ以外のマーケットにも大きな影響を与えますので、しばらくの間は不安定な相場変動が続く可能性が高そうです。
今日は米国10年債利回りについてのお話でした。
このコメントは編集者の個人的な見解であり、残念ながら内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。